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夫亡きあと、一人暮らしになる高齢女性
厚生労働省の「令和5年 国民生活基礎調査」によると、65歳以上の一人暮らし世帯は855万世帯にのぼります。このうち男性が304万世帯であるのに対し、女性は551万世帯と、3世帯のうち2世帯を女性が占めているのが現状です。
女性の単独世帯が多くなる背景には、平均寿命の違いがあります。厚労省の2024年の簡易生命表では、男性の平均寿命が81.09年である一方、女性は87.13年。夫が先に亡くなり、残された妻が10年ほど一人暮らしをするのは、比較的多いケースなのでしょう。筆者のごく身の周りにも、そうした高齢女性は何名もいらっしゃいます。
高齢女性の一人暮らしは、経済的にどう支えられているのでしょうか。今回は、夫亡きあとの生活が厳しいものとなってしまった、ある女性の事例を紹介します。
「俺に黙ってついてこい」昭和気質な夫に惹かれて…
AさんとBさんは20代のころ、同じ製造業の会社に勤める同僚でした。3歳年上のAさんは、「俺に黙ってついてこい」という、昭和の男気にあふれたタイプ。一方のBさんは自己主張が控えめで、2年の交際を経てAさんのプロポーズを受け入れました。
結婚後Bさんは寿退職し、2人の子どもにも恵まれます。Aさんは残業も多く、一家の大黒柱としてもくもくと働いていました。結婚生活はいろいろあったものの、総じて順調だったといいます。ところが、Aさんが40歳に近づいたころ、Bさんに相談らしい相談もなく、Aさんは半ば一方的にこう告げたのです。
「社会保険労務士として独立する」
子育て真っ最中だったBさんは当然戸惑いました。夫はなにもいってこなかったものの、ここのところ、仕事がある日も休みの日も、夜な夜な机に向かっていたことをBさんは知っていました。それが資格試験に備えての勉強だったのでしょう。頑張っている姿を陰ながら応援していたものの、まさか独立するためとは思っていなかったのです。
しかし、これまで夫の判断に意見したことはなく、黙って受け入れるほかありませんでした。