東京脱出!62歳で決断した"憧れの地方暮らし"のはずが……

「青柳さん、東京に戻るつもりですか?」

地方移住から1年半が経った頃、青柳さんは移住先の近所のスーパーでレジ係の女性にそう聞かれました。彼は苦笑いしながら「いえ、ちょっと用事があって……」と答えましたが、心の中では「このままでは戻るしかないかもしれない」という思いが渦巻いていました。

青柳真司さん(仮名、62歳)は、約2年前に35年勤めた東京の広告代理店を早期退職し、妻(59歳)と二人で中部地方の山間の小さな町に移住しました。東京郊外のマンションを売却し、古民家を購入。さらに投資用の空き家も3軒買い、家賃収入で悠々自適な生活を送るはずでした。

東京での生活は、片道1時間半の満員電車通勤の毎日。週末は疲れ果てて家でゴロゴロし、妻からは「邪魔者扱い」。60歳の継続雇用以降は、仕事の内容は変わらないのに給料は激減でモチベーションもダウン。住んでいたマンションは築25年で修繕積立金も増額。物価高で生活費もかさみ、このままでは老後が不安でした。

「これからは自然の中でゆっくり暮らしながら、空き家投資で収入も確保できる。これぞ理想の人生設計だ!」

そう思っていたのです。しかし、いざ実行してみると現実は厳しいものでした。