「老後資金はなんとかなった」とホッとしたのも束の間、ふと心を曇らせるのは、2階の4畳半に住み続ける娘の存在。引きこもりではないものの、正社員経験ゼロのまま40代に突入した“実家暮らし”の我が子。このままでは老後どころか、「人生100年時代」に親子共倒れになりかねない――そんな不安に向き合う夫婦を例に、FPの三原由紀氏が解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
まさか、うちの娘が…年金22万円・貯蓄3,000万円の60代夫婦、老後資金は万全だが心から笑えない。原因は「自宅2階・4畳半の部屋に居座る我が子」の存在【FPの助言】
老後資金はクリアのはずが…不安の理由は「2階の部屋に居続ける娘」
埼玉県在住の野田俊明さん(仮名・67歳)と妻の美智子さん(仮名・65歳)は、年金生活がスタートしたばかりの夫婦。年金受給額は2人で月約22万円、貯蓄も3,000万円以上、しかも、築30年超えではあるが持ち家もあり、老後の生活には比較的ゆとりがあると言えます。
「老後資金としては十分。二人だけなら、旅行や趣味も楽しめる生活が送れると思っていました……」
美智子さんが「なんとも言えない不安」として抱えるのが、2階の4畳半の部屋に住み続ける一人娘・由美さん(仮名)の存在です。
彼女は大学卒業後、契約社員として何社かを渡り歩いたものの、現在は仕事を辞めて無職。特に引きこもりというわけではなく、近所の図書館へ出かけたり、親の買い物に付き合ったり、問題なく暮らしています。
ただ、就職や結婚といった話題になると途端に不機嫌になるのです。
「子ども部屋おばさんっていう言葉もあるけど、まさか自分の娘がそうなるなんて思っていませんでした」と俊明さんは語ります。
一方、妻の美智子さんはこうこぼします。「体調が悪いって言われたら無理には働かせられない。でも、私たちが死んだあと、この子はどうやって生きていくのか。それを考えると眠れなくなります」
彼女の部屋は、2階の4畳半。高校生の頃と同じ部屋に、40代になってもずっと住み続けているのです。もちろん、食事・光熱費・通信費すべてが親持ちの「実家暮らし」状態です。