62歳で早期退職し、妻と憧れの地方移住に踏み切った青柳真司さん(仮名)。しかし、甘い見通しで始めたことがまさかの“負の連鎖”を引き起こします。結果、「このままでは……」とUターンもよぎる絶望の日々。一体何が彼を待ち受けていたのでしょうか。本稿では、地方移住と不動産投資で後悔しないための、リアルな教訓についてFPの青山創星氏が詳しくお伝えします。
(※写真はイメージです/PIXTA)
東京の満員電車・仕事のストレスにもうウンザリだ…62歳元会社員、理想の暮らしを求めて一念発起。憧れの地方移住を果たすも「収入ゼロ」「資金が底をつく」大誤算に悲鳴【FPの助言】
地方移住と不動産投資、成功者になるために守る「4つのルール」
青柳さんの事例から学ぶことができる、地方移住と不動産投資で失敗しないための鉄則は以下の4つです。
1.徹底した事前調査と複数季節の体験
移住先には最低でも四季を通じて数回訪れ、できれば1〜2週間の滞在を経験すること。特に最も厳しい季節(多くの場合は冬)を体験することが重要。
移住先には最低でも四季を通じて数回訪れ、できれば1〜2週間の滞在を経験すること。特に最も厳しい季節(多くの場合は冬)を体験することが重要。
青柳さんも「夏と秋に訪れただけで、厳しい冬の生活を想像できていませんでした。雪かきの大変さや暖房費の高さは、経験しないとわからないものです」と振り返ります。
2.不動産投資は地元の実情を知ってから
地方の不動産投資は、地元の需要と供給のバランスを理解してから行うべき。特に賃貸需要は地域によって大きく異なる。
地方の不動産投資は、地元の需要と供給のバランスを理解してから行うべき。特に賃貸需要は地域によって大きく異なる。
成功している移住者の多くは、まず1年ほど地域の様子を見てから投資を始めているとのこと。移住前や直後に大きな投資判断をするのはリスクが高いのです。
3.生活費の詳細な試算と余裕資金の確保
地方移住では、想定外の出費が必ず発生する。最低でも年間支出の1.5~2倍の現金を確保しておくとよい。
地方移住では、想定外の出費が必ず発生する。最低でも年間支出の1.5~2倍の現金を確保しておくとよい。
青柳さんの場合、年間300万円の生活費を見込んでいましたが、実際は400万円以上かかりました。さらに投資物件の修繕費用もあり、退職金を予定よりかなり多く取り崩すことになったのです。
4.収入源の多様化と継続的なスキルアップ
不動産投資だけでなく、リモートワークやフリーランス、趣味を活かした小さなビジネスなど、複数の収入源を持つことが理想的。
不動産投資だけでなく、リモートワークやフリーランス、趣味を活かした小さなビジネスなど、複数の収入源を持つことが理想的。
地方移住に成功している60代の多くは、週に2〜3日程度の仕事を持ち、社会とのつながりを維持しているのが特徴。青柳さんも「仕事があることで生活にリズムができ、地域での自分の役割も見つかりました」と話します。
諦めないでよかった…準備と柔軟な対応で「理想の老後」に
青柳さんは今、民泊事業とコンサルティング業務の両立に加え、地域のイベント企画にも関わるようになりました。「最初の危機を乗り越えたからこそ、今の充実感があります。柔軟に計画を修正したことが、本当の意味での『理想の暮らし』につながりました」と笑顔で語る姿が印象的でした。
「最初の1年半は本当に苦しくて何度東京に戻ろうと考えたかわかりませんでしたが、今では地方暮らしの本当の魅力を実感しています」
地方移住と不動産投資は、準備と柔軟な対応があれば、素晴らしい第二の人生をもたらしてくれます。青柳さんの経験が、これから新しい一歩を踏み出そうとしている皆さんの参考になれば幸いです。
ファイナンシャルプランナー
青山創星