62歳で早期退職し、妻と憧れの地方移住に踏み切った青柳真司さん(仮名)。しかし、甘い見通しで始めたことがまさかの“負の連鎖”を引き起こします。結果、「このままでは……」とUターンもよぎる絶望の日々。一体何が彼を待ち受けていたのでしょうか。本稿では、地方移住と不動産投資で後悔しないための、リアルな教訓についてFPの青山創星氏が詳しくお伝えします。
(※写真はイメージです/PIXTA)
東京の満員電車・仕事のストレスにもうウンザリだ…62歳元会社員、理想の暮らしを求めて一念発起。憧れの地方移住を果たすも「収入ゼロ」「資金が底をつく」大誤算に悲鳴【FPの助言】
これまでの計画を大きく修正、その結果……
永瀬さんのアドバイスを受けて改めて熟考した青柳さんは、東京に戻る決断を保留し、計画を大きく修正することにしました。
まず、3軒の投資物件のうち1軒を売却し、資金を確保。最も条件の良い1軒は、地元の工務店の協力を得て観光客向けの民泊施設にリノベーションしました。地域の魅力を発信するSNSも始め、徐々に予約が入るようになりました。
もう1軒は、地元の高齢者が集まるコミュニティカフェとして週末だけ開放。これが思わぬ効果を生み、地域の人々との距離が縮まったのです。
「最初は『東京から来た人』と警戒されていましたが、カフェで地元の方々と交流するうちに、徐々に受け入れられるようになりました」と青柳さん。
収入面では、地元の中小企業向けにマーケティングコンサルタントとして週2日働くことになりました。「東京の経験が地方で評価されるとは思いませんでした。むしろ、地方だからこそ専門知識を持つ人材が重宝されるんです」と青柳さんは語ります。
生活費の見直しも効果的でした。永瀬さんのアドバイスで断熱リフォームを実施し、光熱費を3割ほど削減することができました。また、隣の75歳の高齢ご夫婦との車の共同利用も始め、維持費の負担が軽減されました。
こうした取り組みの結果、移住から2年が経過した現在、青柳さんの生活は大きく好転しました。民泊事業は月に10万円程度の収入をもたらし、コンサルティング業務と合わせて安定した生活基盤を築けるようになったのです。
「あのとき東京に戻っていたら、この充実感は味わえなかったでしょう」と青柳さんは振り返ります。