「こづかい(使途不明金)」が20年で7割減少と聞くと、驚く人が多いと思います。物価上昇など家計にかかる負担は大きくなっていますが、なぜ7割もの減少が見られたのか。ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏が、こづかい減少の背景ついて詳しく分析、解説します。
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こづかいを増やすには?~賃上げ期待もあるが、副業や不要品循環、投資など個人の工夫が重要
「こづかいが7割減少」と聞くと驚くかもしれないが、近年の消費社会の変化やデジタル化の影響を考慮すると、納得した人も多いのではないだろうか。
一方で、懸念されるのは、先のレポートでも指摘されている通り、所得の伸びに対して消費が伸びていない点である。個人消費はGDPの過半を占めるため、その改善は日本経済の今後にとって極めて重要だ。今年の春闘では高水準の賃上げが見込まれており、今年後半には、いよいよ物価の上昇率を上回る形で賃金が上がり、消費の回復が期待されている。
このままでも2025年は緩やかに消費が改善する可能性が高いと考えられるが、賃上げ動向に依存する形では、個人の消費生活は受動的になってしまう。一人ひとりの消費者が積極的に取れる行動としては、シェアリング・エコノミーが広がる中では自分のスキルを活かして副業で収入を得ることや、フリマアプリなどを活用して不要なものを循環させることがあげられる。また、市場の不安定はあるものの、長期的には投資も有効な手段だ。
今の時代、個人の可処分所得を増やす方法は多様化している。あらためて家計を見直してみてはいかがだろうか。