若年層のキャッシュレス主義が浸透する一方で、いまだ現金主義が根強いシニア層。現金主義の場合、出先でお金が足りなくなることへの不安から、必要分より多めに財布へお金を入れているという人も多いでしょう。しかし、持ち歩く現金が増えるほどに、不必要な支出も増えやすくなります。本記事では、保坂隆氏の著書『精神科医が教える 50代からの心おだやかな暮らし方』(有隣堂)より、現金主義のシニア層向け散財対策を紹介します。
退職金には手をつけない。年金だけで暮らせます…69歳・現金主義の女性、財布の中には「5000円」だけでも不安がない理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

散財対策の「肌付け金」

そこで見習いたいのが、「肌付け金」です。ここで、御年69歳になる女性の話を紹介します。

 

「退職金にはできるかぎり手をつけたくないので、年金だけで暮らすように心がけています。そのため、財布に入れている現金はいつも5000円以下。クレジットカードも持ち歩かないので、友達には、『それじゃ心細いでしょう』と言われることもありますが、いざというときには紙入れの中に肌付金を2万円隠しているので、不安を感じたことはありません。肌付金を持ち歩くようになってから5年近くなりますが、実際に使ったことは2〜3回。でも、持っているだけで安心感がありますから、現金主義のシニアにはおすすめですよ」

 

肌付金とは、昔、旅人などがいざというときのために、襟の中などに縫いつけておいた非常用のお金のことです。現在では、買ってきた服の縫製をほどいて現金を隠し入れるのは現実的ではありませんから、財布とは別のところにいくらかのお金を入れておけばいいでしょう。普段はそのお金をないものとして行動していれば、気が大きくなりすぎて散財する心配もなくなるはずなので、お試しください。

 

 

保坂 隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック
院長

 

※本記事は『精神科医が教える 50代からの心おだやかな暮らし方』(有隣堂)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。