(※写真はイメージです/PIXTA)
「かもしれない問題」におびえずに、堂々と
欲しい金額を答えているのであれば、実際にはもっと低額で暮らしている人の意見でしょう。事実、こうした調査が公表されると、必ずといっていいほどSNSに「そんなに必要ない」「贅沢しすぎ」などと書き込まれるのですから、「自分だけ取り残されている」などと考える必要はありません。
たしかに、お金は、あって困るものではありません。ましてや、50代も過ぎれば、若いころに比べ病気になる可能性も高くなっていきますし、最近は自然災害に遭うことも珍しくなくなりましたから、「お金はいくらあっても足りない」と考えている人も多いでしょう。
しかし、そんな“起こるかもしれないし、起こらないかもしれない”問題に怯えながら過ごしていたら、ストレスは溜まる一方です。最近、シニアがキレる事件が頻発していますが、そのなかには「将来に対する不安」という巨大なストレスに心が押しつぶされて感情をコントロールできない人もいるのではないでしょうか。
シニアにとって最大の武器は歳を重ねたことによる「徳性」と言っている私としては、これは大きな問題だと考えます。将来のお金についてはおおらかな気持ちで向き合うことをおすすめします。昔の人も「ない袖は振れぬ」と言っています。自分で「何とかなる」「精一杯やった」と思えるだけのお金を用意したら、不可能な金額を言い立てる情報に心をかき乱される必要はないと思います。
保坂 隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック
院長
※本記事は『精神科医が教える 50代からの心おだやかな暮らし方』(有隣堂)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。