50代を過ぎ、職場での立場や役割の変化に戸惑うビジネスパーソンは少なくありません。しかし、そんななかでも、社内で存在感を発揮し、生き生きと仕事を楽しむ人たちがいます。彼らは一体、なにが違うのでしょうか? 本記事では、保坂隆氏の著書『精神科医が教える 50代からの心おだやかな暮らし方』(有隣堂)より、50代の生き方・働き方について解説します。
現実を突きつけられて愕然としました…50代で花形部署から閑職へ。自己紹介時、ポケットからどうしても出せなかった「名刺」 (※写真はイメージです/PIXTA)

50代、職場以外での自己紹介

ここで少し考え方を変えてみましょう。そもそも自己紹介を億劫に感じるのは、無意識のうちに初対面の相手に良い印象を与えたいと思っているからです。もちろん、その気持ちもわかります。でも、自己紹介は面接ではありません。趣味や特技がなくても、その人の何らかの情報が相手に伝わればいいのです。

 

たとえば、「はじめまして。田中と申します。最近は歴史小説に凝っていまして、特に藤沢周平の作品が好きです」「保険会社に勤めていますが、会社以外の世界を知りたいと思い、こちらのサークルに参加させていただきました。よろしくお願いします」などと言えれば、それで十分なのです。

 

自己紹介で大事なのは、聞き手に「もっと話を聞きたいな」「ぜひ話をしてみたいな」と思ってもらえることです。しかし、過去の栄光が捨てられないと、何かしら相手に「すごいなぁ」「かなわないな」と思わせようと、余計な自己アピールをしがちです。

 

「相手より上に立とう、相手を打ち負かそう」などと考えないことが大切です。人と比較して、どっちが上でどっちが下かなどという基準で物事を見ていては、生き方が苦しくなっていくだけです。職場でも、若い人と張り合って成果の奪い合いをしていたら、ますます居場所がなくなってしまいます。

 

最初は受け入れづらいかもしれませんが、謙虚な気持ちで、相手を尊重する姿勢が何より大切です。子どものころ、誰かと友達になるのに名刺など必要なかったことを思い出しましょう。怖がらずに自分自身を素直にさらけ出すことが、中年以降の生き方・働き方では大事になってくるのです。

 

 

保坂 隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック
院長

 

※本記事は『精神科医が教える 50代からの心おだやかな暮らし方』(有隣堂)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。