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物価高に苦しむ老後…元公務員の生活事情
国家公務員として地道に働いてきたという佐々木浩一さん(仮名・77歳)。全国を転々とすることも多く、ずっと公務員宿舎暮らしでした。そんな佐々木さんには大きな転機が2回ありました。まずはマイホームの購入。定年まで3年というタイミングで、もう異動する心配はないと新築マンションを購入。夢にまで見た夫婦2人きりの穏やかな生活を手に入れました。もうひとつの転機は10年前。結婚40年目に愛妻が他界。それ以来、妻との思い出が詰まった自宅でひとり暮らしをしています。
生活のベースは年金。月18万円、手取りにすると15万円強。ひとり暮らしであれば十分な金額かもしれませんが、それでも昨今の物価高の影響は大きいといいます
「米5キロが4,500円もするなんて思ってもみませんでした。去年の夏のコメ不足騒動を境にどんどん値段が上昇していきましたが、こんなにも高くなるとは思いもしませんでした」
2日に1度は近所のスーパーに通っては、米売り場の前で「安くなっていないかな」とチェックする日々。
「備蓄米が放出されたら、少しは価格は下がると思っていたんだけど……どうやらまだ先の話のようですね」
家の米びつをのぞいては、「そろそろ買ったほうがいいかな」と思いつつ、コメ売り場を前にすると、「今度来たときは安くなっているかもしれないから、もう少しまとう」となるのだとか。「まさか、毎日食べる米を買うかどうか迷う日が来るとは、思ってもいませんでした」と佐々木さんはため息をもらいます。
物価の急上昇は、米だけではありません。食費全般、光熱費、医療費……最近はあらゆるものが以前よりも高くなり、生活を圧迫。さらに「今年は管理費と積立金が値上がりしましてね。もう築20年近く経ち、そろそろ大規模修繕の話が具体化する頃だと思いますが、昨今の建築費等の値上がりでお金が足りないらしくて、来年も値上がりするという話が出ていますよ」。管理費・修繕積立金で月4万円の出費は、手取り月15万円生活の佐々木さんには大きな負担です。