現代の若者が将来に希望を持ちにくいと感じる背景には、住宅価格や家賃の高騰、物価の上昇、子育て費用の増大といった、複合的な要因が影響していることは否めない。なかでも「こんな不安定な時代だからこそ若者にはよい教育を」と我が子の教育に力を入れる家庭も多い。そのような際、一つの壁となるのが莫大な教育費。本記事では、教育費に関するさまざまな問題から「奨学金」に焦点を当て、Aさん夫妻の事例とともに現状の問題点について、アクティブアンドカンパニー代表の大野順也氏が紐解いていく。
年収順に選考しているのでは?…世帯年収900万円・都内在住40代共働き夫婦、門前払いを受けた「国の機関」に大激怒 (※写真はイメージです/PIXTA)

奨学金返済者への支援制度

こうした社会構造的な課題に対して、民間企業においても貸す側や返す側のさまざまな支援が広がっている。これまで奨学金というと、金銭を給付する・貸与するといった貸す側の解決策がほとんどだった。しかし昨今では、金銭だけでなく物質的な支援や、貸すだけでなく返す側の支援も広がっている。

 

給付型奨学金

レオパレス21奨学制度(レオパレス21)※1

同社は、学費高騰と家計への圧迫による学生の経済的負担を軽減し、奨学金への依存度や長期的な返済負担といった社会問題の解決を目指すため、2023年に『レオパレス21奨学制度』を新設。支援内容としては、「同社が管理する物件への無償入居」または「給付型奨学金」の2種類がある。

 

返済支援

奨学金返還支援制度(日本学生支援機構)※2

同法人は2021年4月より、従業員に代わって、企業等が奨学金返還を行う制度を新設。この制度は企業側にも、人材の確保や税制面でのメリットがある。

 

こうした制度は、奨学金の返済負担を個人の問題とせず、社会全体で解決していくための有効な手段といえるだろう。経済的な理由で進学を諦めざるを得ない若者を減らし、ひいては日本全体の成長を促進することが期待される。

 

〈参考〉

※1 レオパレス21奨学制度(レオパレス21)

https://www.leopalace21.co.jp/scholarship/

※2 奨学金返還支援制度(日本学生支援機構)

https://dairihenkan.jasso.go.jp/

 

 

大野 順也

アクティブアンドカンパニー 代表取締役社長

奨学金バンク創設者