中小企業にとって人材獲得は争奪戦と化しています。革新的な技術を持つ企業でさえ、採用活動だけが旧態依然としているのはなぜなのでしょうか? 本記事では、菅谷信一氏の著書『動画とAIで変わる最新人材採用術(人材難、採用難を乗り切る新常識!)』(スタンダーズ株式会社)より、現代の採用現場の実態について解説します。
工業高校の学生がひっぱりだこ!求人倍率「過去最高27.2倍」…やたら目にする「求人広告」、紹介サービスに企業は依存。採用現場の悲惨な実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

革新を進める企業が陥りがちな「昭和時代」の採用活動

特に現代では、求人広告や紹介会社に依存する企業が増えています。私が企業の現場を見ていて感じるのは、他の分野では革新的な取り組みを進めているにもかかわらず、採用活動だけは旧態依然とした方法に頼り続けているということです。

 

求人広告の営業マンの提案通りにスペースを購入し、募集要項を作成するだけでは、他社との差別化ができません。求職者に対して企業の魅力を十分に伝えることが難しくなります。

戦略的採用の重要性

これは30年前、ネットがない時代に私たちが行っていた採用とは全く異なるアプローチです。当時は手段が限られていた分、徹底的に考え抜くしかありませんでした。その結果、戦略的に採用を行うことができたのです。

 

一方、紹介会社に頼る採用手法も、長期的な視点で見るとリスクが高いです。有資格者を紹介してもらうために、1人あたり数百万円の紹介料がかかるケースも少なくありません。例えば、医療や福祉の業界では、看護師や保育士のような有資格者を確保するために高額な費用を支払っている企業が多数存在します。しかし、その費用に見合った人材が長期的に定着しないことも多く、結果として大きな損失を招いてしまうのです。

 

 

菅谷 信一

株式会社アームズ・エディション 代表取締役