人手不足の時代。大手企業に規模で負ける中小企業がよりよい人材を獲得するためには、採用活動の工夫が必須です。企業の採用活動というと、広告会社や紹介会社に頼るのが一般的でしょう。しかしなかには有資格者一人を紹介してもらうのに、数百万円もの紹介料がかかるというケースが往々にしてあります。本記事では、菅谷信一氏の著書『動画とAIで変わる最新人材採用術(人材難、採用難を乗り切る新常識!)』(スタンダーズ株式会社)より、無駄な採用コストの削減方法を解説していきます。
目を覚ましてください…数百万円をドブに捨てていることも。中小企業がカモられやすい「当たり前に払っているコスト」 (※写真はイメージです/PIXTA)

コストをかけすぎず、採用の質を高める方法

どうすれば無駄な採用コストを削減し、企業にとって最適な人材を確保できるのでしょうか。その鍵となるのが「低コストで実現できる採用手法」の導入です。例えば、スマホ一つでできる「採用動画」を活用することで、コストをかけずに自社の魅力を伝えることが可能です。

 

また、ベストなコミュニケーションツールであるLINEをうまく活用し、狙った人材に直接働きかけることで、広告会社や紹介会社に頼らずに、効率よく採用活動を進めることができます。こうした方法を取り入れることで、採用コストを抑えつつ、企業文化や働き方に合致する人材との出会いが増えるでしょう。

採用コスト削減とノウハウ蓄積による長期的な効果

採用活動は一度きりの取り組みではなく、長期的な視点での改善と成長が求められます。そのためには、採用活動に関するノウハウを社内でしっかりと蓄積し、次世代の担当者に引き継ぐための仕組み作りが不可欠です。特に中小企業では、担当者が交代するたびに知識が属人化しやすく、その結果、採用力が低下してしまうという問題に直面しがちです。

 

動画マニュアルで知識を標準化し、属人化を防ぐ

こうした課題を防ぐために、採用に関する知見や実績を「動画マニュアル」として記録し、社内で共有することをお勧めします。動画であれば、採用手法や面接の進行方法などの具体的なプロセスを視覚的に伝えることができるため、新しい担当者でも理解しやすく、活用の幅も広がります。

 

・パソコンや機械の操作手順を、音声の解説を加えながら収録することで「操作マニュアル」として活用できる

・お客様対応や接遇のポイントについても、相手に伝えるべき言葉や取るべき姿勢を動画で解説することで、文字や写真では伝えきれない細部まで正確に社員やスタッフに伝えられる

 

こうして「動画マニュアル」を用いることで、各担当者が業務に必要なスキルや知識を正確に把握しやすくなり、教育の効率が大幅に向上します。また、担当者が変わっても一貫性を保ちながら情報が伝わり、業務の質を安定させることができるでしょう。さらに、動画マニュアルを通じて企業の理念や採用活動のポイントを標準化することで、採用のブレが少なくなり、安定した採用活動が続けられるでしょう。

 

このような「標準化されたノウハウ」が社内にあることで、採用活動に関する知識が担当者個人のスキルに依存するリスクが軽減されます。結果として、組織全体で継続的に採用力を維持・向上させることが可能になります。加えて、採用活動の改善点や成功事例、失敗から得た教訓も記録することで、次の採用活動に生かせる貴重な情報が蓄積されていきます。