
「辞退ゼロ」を達成するには
「辞退ゼロ」を達成するためには、採用候補者と本質的な信頼関係を築くことが重要です。実は採用活動の初期の頃、私はこの「信頼構築」を誤解していました。
当時、優秀な学生に内定を辞退されないように、会食や高級なお寿司、焼肉の接待を重ね、企業の魅力を伝えようとしました。会食を通して距離が縮まり、信頼関係が築けたと感じていたのですが、結果として多くの学生に辞退されるという経験が続きました。
この経験を通じて「美味しいご飯を食べさせるだけの採用は、札束で相手を叩くようなものであり、本質的な信頼関係には何ら貢献しない」ことを痛感しました。ただの接待では、候補者に一時的な関心を抱かせるだけで、企業との深い結びつきにはつながりません。
この失敗を通して、私は「相手の心に響く価値観の共有」こそが、内定辞退を防ぐための鍵であると悟りました。真の信頼関係を築くには、候補者に企業のビジョンや価値観を理解してもらい、「ここで働きたい」と思ってもらう必要があるのです。
新卒者の3割以上は3年以内に離職
採用活動において「短期離職ゼロ」を実現するためには、入社後のフォローアップが欠かせません。
厚生労働省が令和6年10月に公表した最新の「新規学卒就職者の離職状況」によると、新卒で就職した人のうち、高校卒業者の38.4%、大学卒業者の34.9%が就職後3年以内に離職しているといいます。事業規模別にデータを見ると、従業員数が30名以下の会社では実に半数以上が3年以内に離職しています。この数値からも分かるように、新卒者が入社して最初の3年は、企業にとっても社員にとっても重要な定着の時期なのです。