不動産投資で繰り上げ返済をするデメリット
ここまで紹介したように、繰り上げ返済には多くのメリットがある一方、注意しなければならないデメリットもあります。以下からは、繰り上げ返済を行うデメリットを3つ解説します。
手元運転資金の流動性が低下する
繰り上げ返済を行うことで、手元運転資金の流動性が低下するというリスクが生じます。
例えば突発的な修繕費が発生した場合や、空室が続いて家賃収入が途絶えた場合に、十分な資金がなければ適切な対応ができず、物件の維持管理に支障をきたす可能性があります。特に築年数の古い物件では修繕の必要性が高くなるため、資金を繰り上げ返済に回しすぎると、いざというときの対応が難しくなるでしょう。
また、賃貸経営では広告費をかけて空室対策を行う場面もありますが、資金が不足していると効果的な集客施策を実施できず、結果的に長期間の空室リスクを抱えることになりかねません。
レバレッジ効果が低下する
不動産投資の大きな魅力のひとつに、レバレッジ効果を活用できる点があります。これは、自己資金を少額に抑えつつ、金融機関からの借入を活用して大きな投資を行うことで、資産規模を拡大しやすくする仕組みです。
しかし、繰り上げ返済を積極的に行い借入残高が減ると、結果としてレバレッジ効果が低下してしまうことになります。特に低金利の場合には、ローンを最大限に活用したほうが資金効率の面で有利になることが多いため、低金利の状態で繰り上げ返済を進めることは必ずしも得策とはいえません。
むしろ、その資金を新たな物件の購入やリフォームに回すことで、より大きなリターンを狙うほうが合理的な選択となる場合もあるため、慎重な検討が必要です。
節税効果が減少する
繰り上げ返済を行うことで借入残高が減少すると、節税効果を十分に得られなくなる可能性があります。
ローンを利用することで、ローンの支払利息を経費計上し所得金額を圧縮して所得税の負担を軽減できますが、繰り上げ返済を行うことで借入残高が減少すると、経費計上できる支払利息が減少し十分な節税効果を得られなくなってしまいます。
不動産投資が節税上の効果をもたらす理由や、具体的な節税効果、節税効果を高める方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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繰り上げ返済には手数料が発生する
繰り上げ返済をする際には、手数料がかかることが一般的です。金融機関によって手数料体系は異なり、一律で固定の手数料金額が設定されていたり、借入期間からの経過日数を基に繰り上げ返済額の数%を乗じた額が手数料として必要になったり、無料としているケースなどさまざまです。
繰り上げ返済をする際は、手数料の金額を事前に確認しましょう。