(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資において、見落としがちなコストのひとつが土地登記にかかる費用です。具体的な金額は登記の種類や不動産の価格、地域などによって異なりますが、場合によっては100万円以上の費用が必要となることもあります。本コラムでは、土地登記の費用の目安や相場、計算例のほか、費用を抑える具体的な方法を解説します。

土地登記にかかる費用一覧

(画像:PIXTA)
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登記費用は、国に支払う「登録免許税」と、専門家に支払う「報酬」の二面からなります。以下からは、それぞれの費用の内訳や相場について解説します。
 

登録免許税の目安・相場

登録免許税とは、登記手続きの際に登記を行う者(不動産登記の場合はその不動産の所有者)が国に納める税金のことをいいます。原則として登記申請の際に現金で納付します。納付額が3万円以下であれば収入印紙による納付も可能です。

 

登録免許税は、権利部に関する登記手続きの際に納付が必要となりますが、表題部に関する登記手続きでは分筆や合筆などを除き原則非課税となります。

 

登録免許税の金額は、不動産の価格によって変動します。具体的な計算方法は次の通りです。

 

登録免許税の計算方法

登録免許税額=不動産の固定資産税評価額×税率

 

固定資産税評価額とは、「固定資産評価基準」に基づいて各市町村が個別に設定する価額のことで、その名の通り固定資産税の算出にも用いられます。固定資産税の課税明細書で確認できるほか、自治体の固定資産課税台帳でも確認できます。

 

固定資産税評価額は、面積や土地の形状等を総合的に勘案して算出されますが、おおよその目安としては、土地の場合は地価公示価格の約70%、建物の場合は再建築価格の約50~70%もしくは新築工事にかかった費用の50~60%が目安です。

 

税率は、登記手続きの種類や不動産の取得方法により異なります。後述しますが軽減税率が適用されるケースもあるため、しっかりと確認しておきましょう。

出典:「No.7191 登録免許税の税額表」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)を加工して作成
出典:「No.7191 登録免許税の税額表」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)を加工して作成

土地家屋調査士報酬の目安・相場

土地家屋調査士に登記を依頼する場合、土地の用途変更(土地地目変更登記)など比較的簡易的な手続きであれば5万円ほどの報酬となりますが、境界確定などの測量業務が加わると費用が高額になることもあります。

 

例えば「土地を購入する際、正確な取得価格を算出するために境界確定測定を行ったところ、登記簿上の地積と異なっていた」ということがあります。これは、土地が古くから利用されていたり、自然災害の被害を受けたりして、境界線が曖昧になることによって起こります。

 

このような場合、まずは土地家屋調査士に境界確定測量を依頼して正確な面積を測量してもらい、次に表題部変更登記を行う必要があります。

出典:日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士報酬ガイド(令和4年度版)」
出典:日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士報酬ガイド(令和4年度版)」

 

境界に関する基本的な知識や、土地を購入する際に境界確認書を取得すべき理由については、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

【関連記事】【第5話】境界確認書と確定測量をすることの重要性

 

司法書士へ報酬の目安・相場

司法書士に登記手続きを依頼する場合、地域や依頼内容によっても異なりますが、報酬相場は3〜7万円ほどとなっています。

 

別途、相談料や書類の収集等に費用が生じるため、最初の相談の際にしっかりと見積もりを出してもらうようにしましょう。

出典:日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2024年(令和6年)3月実施)」
出典:日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2024年(令和6年)3月実施)」

 

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