2024年からスタートした新NISA。制度が変わったことをきっかけに、初めて口座を開いたという人もいるかもしれません。実際、NISAの口座数は大きく伸び、それに伴い、買付額も急増しています。本稿ではニッセイ基礎研究所の前山裕亮氏が、制度開始から1年が経ったいま、私たちの“投資行動”の変化について詳しく解説します。
新NISAの現状――新制度開始から1年。口座数と買付額の推移を読み解く (写真はイメージです/PIXTA)

2025年は勝負の1年に

いずれにしても、2024年は制度拡充に伴って非常に良いリスタートを切ったといえる。2025年に入ってもNISA口座からの買付額は、とりあえず継続している様子である。証券会社10社のみになるが、特に2025年1月は成長投資枠を中心に2024年1月以上の買付額があった(図表4)。

 

出所:日本証券業協会資料より作成
[図表4]証券会社10社のNISA口座からの買付額 出所:日本証券業協会資料より作成

 

ただし、金融市場の雲行きは怪しくなってきている中、脱落する人が出てこないかが心配される。

 

また、口座開設は残念ながら新NISAとして拡充された2024年初が口座開設のピークで、2024年中から既に鈍化してしまっている(図表5)。

 

出所:金融庁、日本証券業協会より作成
[図表5]四半期ごとのNISA口座の増加数 出所:金融庁、日本証券業協会より作成

 

2025年に入っても、証券10社の口座開設は前年同月の半分以下にとどまっている。NISAが広く普及してきたといっても、最も普及が進んでいる30歳代でも3人に1人程度しか保有していない状況である。制度普及がこのまま止まってしまうのか、口座の利用状況と合わせて今後の動向が注目される。