
2014年に迫る口座開設数に
少額投資非課税制度(NISA)が、いわゆる新NISAとして大幅に制度拡充されてから1年経過した。口座数は2024年末の速報値だと2,560万となっており、2023年末の2,124万から435万、20%も増えた(図表1)。
一般NISAが始まった2014年を除くと、2024年は最も口座開設が行われたといえる。
改めて制度開始から振り返ってみると、2014年の口座開設が顕著だったことが分かる。ただ、2014年は開設された口座の稼働率は45.5%しかなかった。つまり、2014年は開設された825万口座のうち、実際に買付額が行われたのは375万口座のみだった。
2024年に増えた435万口座もすべて稼働しているわけではなく、そのうち稼働しているのは過去のつみたてNISAの状況を踏まえると7割、300万口座程度だと思われる。それでも、一人一口座という縛りがあり、すでに2,000万口座以上あったことを踏まえると、2024年は2014年に迫るくらい制度普及が進んだといえるだろう。
買付額も3倍に増加
NISA口座からの買付額についても、2024年は17.4兆円と2023年の3.4兆円から3倍程度に増えた(図表2)。
そのうち成長投資枠が12.5兆円と2023年の一般NISA口座の買付額から3.5倍となり、つみたて投資枠も5兆円と2023年のつみたてNISA口座の買付額の2.9倍となった。口座数自体が増えたこともあるが、それ以上に買付額枠が大きく増えたため、増えた買付額枠を積極的に活用する人が多かったことがうかがえる。
なお、NISA口座からの買付額すべてが新規資金というわけではなかったようだ。日本証券業協会のアンケート結果をみると、購入資金は「預金・給与所得・年金」が最も多いが、再投資に加えて、旧NISA口座や課税口座からの買替もみられた(図表3)。
さらに、2024年にNISA口座からの売却もみられた。こちらも日本証券業協会のアンケート結果になるが、成長投資枠の利用者の25%、つみたて投資枠の利用者でも18%は、2024年中に一部かもしれないが売却したと回答している。買替や売却があったことを踏まえると、必ずしもNISA口座からの買付が「貯蓄から投資へ」になっていない点には、留意が必要かもしれない。