「せっかく太陽光発電を設置したのに、余った電気は微々たるお金にしかならない……」そう感じている人もいるでしょう。2025年度の売電価格は1kWhあたり15円。この金額だけを見ると、積極的に売電するモチベーションが湧きにくいかもしれません。本記事では、平松建築株式会社・代表取締役の平松明展氏の著書『住んでよかった家 理想の暮らしがずっと続く15の空間』(KADOKAWA)より、余った太陽光発電の電力をより有効活用し、光熱費の節約はもちろん、日々の暮らしをより快適にするための具体的な方法を紹介します。賢くエネルギーを活用し、快適な住まいを実現するヒントを探っていきましょう。
2025年度の売電価格は「15円/kWh」…家庭用・太陽光発電の電力が余ったら?「売る」よりお得になる方法【工務店社長が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

1.外と中を統一したデザイン

[図表2]外と中を統一したデザイン

 

黒をベースカラーに木材やコンクリートを融合。外構は意図的に錆びた資材、店舗には古材を使用。キッチンの作業台はコンクリート仕立て。重厚感がありながら風合いのある印象になっている。

2.家の水すべてに対応したセントラル浄水器

[図表3]家の水すべてに対応したセントラル浄水器

 

蛇口などにつける浄水器とは異なり、水道管を通って自宅に入ってくる水すべてを浄水して、残留塩素を取り除いている。カルキ臭もない。自宅と美容室でクリーンな水を使用している。

3.2つの目的を叶える空間づくり

[図表4]子どもが遊べる開放感のある屋上空間

 

2階のリビングから出られるバルコニーは、1階の美容室の上のスペース。40m2以上もある。庭は来客の車の駐車もあることから、安全に遊べる場所を確保した。

4.2階とロフトは光あふれる居住空間

[図表5]2階とロフトは光あふれる居住空間

 

2階にLDKと寝室を確保し、お店の営業が終わったら家族全員が過ごせる場所に。リビングには大窓から日射が入り、屋根裏にも日射を確保できる窓を設置。吹き抜け構造のため、開放感もある。

初期費用がかかっても、職場兼自宅なら家賃・通勤費用がかからない

初期費用は考え方次第で高くも低くも感じられるものかもしれません。事例の家は美容院を併設する注文でした。もし賃貸店舗にした場合、家賃が発生しますし、通勤の費用と時間がかかってしまいます。それを考えると、自宅に併設することは合理的な計画でした。注文住宅の場合、こうした店舗と自宅とをセットにして相談できるのも魅力です。ただし、住宅のみのライフプランよりも考えることは増えます。

 

こうした場合、ファイナンシャル・プランナーの力を借りることが有効です。住宅会社によってはファイナンシャル・プランナーが常駐していたり、提携していたりします。住宅ローンや税金控除、補助金、保険など資金計画に関わることを説明してもらいます。その際、住宅にかかるランニングコストとセットで見ていく必要があるので、ファイナンシャル・プランナーと住宅会社の担当者と一緒に話し合っていくことが重要になります。私が“家づくりは人生づくり”と呼ぶことには、資金計画も含まれています

 

事例の家は、資金計画の不安を解消したのち、よりよい空間づくりを求められました。美容院ではお客さん、自宅では家族が快適に過ごせる空間にしなければなりません。WB工法の家は室温、湿度、空気クオリティを高めるために最適な住まいです。湿度を保つことを調湿性といいますが、WB工法は構造体の調湿効果も利用するので、梅雨時期も快適です。空気調和設備や機械換気に頼らなくても自然に適度な湿度を保てるわけです。これは二酸化炭素や化学物質の排出においても同様に働きます。

 

これによりアレルギー体質だった子どもの肌のコンディションが、劇的によくなったそうです。「家族を健康にできる家」は心も豊かにしてくれるものです。また、室温も常に適温で、2階の生活スペースではエアコン1台で全空間の空
調をまかなっています。

 

ファイナンシャル・プランナーとは?

生活設計、貯蓄計画、投資、保険など、総合的な資産設計(ファイナンシャル・プランニング)を企画立案し、その実行を支援する人。住宅にかかるお金の設計だけでなく、生活全般にかかるお金を考慮した提案をしてくれるプランナーがふさわしい。