「せっかく太陽光発電を設置したのに、余った電気は微々たるお金にしかならない……」そう感じている人もいるでしょう。2025年度の売電価格は1kWhあたり15円。この金額だけを見ると、積極的に売電するモチベーションが湧きにくいかもしれません。本記事では、平松建築株式会社・代表取締役の平松明展氏の著書『住んでよかった家 理想の暮らしがずっと続く15の空間』(KADOKAWA)より、余った太陽光発電の電力をより有効活用し、光熱費の節約はもちろん、日々の暮らしをより快適にするための具体的な方法を紹介します。賢くエネルギーを活用し、快適な住まいを実現するヒントを探っていきましょう。
2025年度の売電価格は「15円/kWh」…家庭用・太陽光発電の電力が余ったら?「売る」よりお得になる方法【工務店社長が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

セントラル浄水器で家の水すべてをきれいにエコキュートで光熱費の削減

家族の健康を守るには、水のクオリティも重要です。事例の家が取り入れたのが、「セントラル浄水器」でした。カルキ臭さを取り除くために蛇口に浄水器を取りつけることは多いと思いますが、セントラル浄水器は水道管を通って自宅に入ってくる水すべてを浄水して、残留塩素を取り除くというシステムです。水道水を殺菌する塩素(次亜塩素酸ナトリウム)は、髪の毛や肌のバリア機能を壊してしまう特性があります。手洗い、洗顔、お風呂で使用する水まで安全なものにするには、セントラル浄水器が最適といえます。

 

また、事例の家で健康のためにさらに取り入れたのが、電磁波対策(「オールアース」という)です。配線などが通る床下や壁面から出る電磁波を外部に逃がすように、アース線をつないだ導電性繊維を壁内に施工しています。

 

健康のためにお金をかけることは有意義ですが、初期費用がかさむことは懸念点ですよね。やはりランニングコストを抑えることで、長期的なコスパを考えるべきでしょう。太陽光発電によって光熱費を削減することができますが、さらにその恩恵を受けるために「エコキュート」(商品名)をおすすめします。夜間電力などを使って空気を圧縮し、熱を取り出して効率よく水を温めるシステムです。タンクには370~460Lもお湯がたまっているので災害対策にもなります。

 

さらにおすすめなのが、太陽光発電の余剰電力を活用することができる「おひさまエコキュート」(商品名)です。ガス代の削減と電気代の両方を削減できるのです。事例の家は家庭だけでなく、美容院でも温められた水を使用していますから、光熱費抑制の貢献度がかなり高いといえます。

 

このようにランニングコストまでを考えて資金計画をすれば、家族の健康を守るための初期費用の捉え方が変わってきます。事例の家のご夫妻は、元気に過ごす子どもの姿を見て、「住んでよかった」と感じています。

 

余剰電力は売るより使うほうがお得

2025年度の固定価格買取制度(FIT)の売電価格の予定は「15円/kWh」(10kW未満の場合。電力会社によって異なる)。また、FITで定められた買取の調達期間は10年で終了するため、その後は変動価格となる。これに対して使用した場合は「31円/kWh(2022年7月22日改訂時)」。つまり、発電した電力はできるだけ使用したほうがお得になる。