(※写真はイメージです/PIXTA)

私道は公共の用に供される公共物である一方で、土地所有者の所有物でもあるため、所有者がさまざまな負担を受けなければなりません。そのため不動産投資の観点からは「私道負担のある土地はやめとけ」と評価されることもあります。本コラムでは、私道負担の意義や固定資産税の扱い、メリット・デメリットのほか、私道負担のある土地を購入する際の注意点を具体的に解説します。

私道負担の固定資産税はどうなる

私道は個人の所有物であるため、固定資産税および都市計画税の課税対象となり、原則として所有者が納税義務を負います。共有持分となっている場合には各自が持分に応じて納税義務を負います。さらに、宅地と同様に私道を取得する際には不動産取得税や登録免許税、都市計画法の市街化区域内に指定されている場合は都市計画税、相続した場合には相続税も支払う必要があります。

 

ただし、自治体によっては、私道であっても各自治体に申請し「公衆用道路」として認められた場合、固定資産税・都市計画税・不動産取得税が非課税となる措置が取られることがあります。「公衆用道路」とは、一般公衆の交通のために利用されている道路のことをいいます。公衆用道路として認定されるためには、道路が広く一般の通行に供されていることが条件となるため、事前に自治体の窓口で確認することが重要です。

 

また、私道が含まれる土地を購入する際には、登記簿謄本の地目が「宅地」ではなく「公衆用道路」となっているかを確認するようにしましょう。加えて、売主の納税通知書を確認し、該当する地番が「非課税」となっているかどうかもチェックすることも重要です。

 

これらの事前確認を怠ると、購入後に予期せぬ税負担が発生する可能性があるため、弁護士や税理士などの専門家にも確認を依頼するなど、慎重な判断が必要です。

私道負担のデメリット・注意点

(画像:PIXTA)
(画像:PIXTA)

 

以下からは、私道負担を抱えるデメリットや注意点を解説します。私道を含む土地を購入する際には、これらのデメリットをしっかりと把握し、事前に対策を講じておくことが重要です。

 

敷地の利用が制限される

私道が敷地内に含まれる場合、土地の利用に一定の制限がかかることがあります。例えば、私道上に建築物を建てたり、門扉や駐車場の設置も制限されたりします。さらに、私道部分が建築不可部分となることで、建築可能部分の建ぺい率や容積率の計算にも影響を及ぼします。

 

その結果、想定していた建築プランを実現できない可能性や、土地の市場価値が下がってしまうこともあります。

 

道路の管理を負担しなければならない場合もある

私道は公共の用に供されている場合であっても、所有権自体は個人にあるため、所有者には維持管理の責任が発生します。具体的には、道路の舗装が劣化した場合の補修や、上下水道などインフラの維持も、所有者の負担となります。また、道路上に放置されたゴミの処分や、違法駐車の対処も求められることがあります。

 

これらの管理を怠ると、道路の状態が悪化し、通行人の転倒や事故の原因となる可能性があります。その結果、所有者が賠償責任を負うリスクも生じるため、定期的な点検と適切な維持管理が欠かせません。なお、自治体によっては私道の舗装工事などに対する助成制度を設けている場合があるため、整備課などの窓口に相談することも有効です。

 

他の共有者とトラブルになることがある

私道を複数の所有者で共有している場合、維持管理や修繕の際にトラブルが発生することがあります。例えば、道路の補修工事を行う際には、共有者全員の同意が必要となるため、意見が合わずに工事が進まないケースが考えられます。また、私道を掘削してガス管や水道管を敷設する場合にも、共有者全員の許可が求められることがあります。

 

このようなトラブルを防ぐためには、事前に「掘削承諾書」などの書類を交わし、私道の管理に関するルールを明確にしておくことが重要です。共有者との良好な関係を維持し、円滑な管理体制を整えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

 

また、固定資産税の納税通知書は代表者に送付され、その代表者が他の共有者から持分に応じた負担分を回収して納税することになります。そのため、トラブルを防ぐためにも、当事者間でどのような流れで清算を行うかの取り決めを事前にしておくなどの注意が必要です。

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