家族歴があると糖尿病リスクは「2~3倍」に

「ちなみに血糖値が高い状態が続くと、どうなるかわかりますか?」

「糖尿病から合併症を起こす人が出てきます……」

「そうです。血糖値が高い状態が続くと血液循環が悪くなって、傷が治りにくくなったり、血管や神経に負担がかかったり。心臓病や脳卒中、合併症のリスクが上がります。糖尿病の3大合併症は感覚の働きに障害が出る『神経障害』や腎臓の障害『腎症』、視力障害の『網膜症』です。糖尿病が怖いと言われる理由は、こうした合併症になるリスクがあること。だから、血糖値を安定させることが大切なのです」

バラバラだった情報が少しずつつながってきた気がする。

「私のように家族歴があると、糖尿病のリスクは高くなりますか?」

「そうですね。家族歴があると、男性も女性も2〜3倍、糖尿病リスクが上がるというデータがあります」

「そうですか……。今は“境界型”でも、将来的には糖尿病になるんでしょうか。正直、40代で糖尿病の一歩手前だと言われて不安です」

「現在、成人の5人に1人は糖尿病か、その予備群と言われています。予備群を合わせれば、その数は約2,000万人と推計されます。きちんと診断や治療を受けていない人が多いのが現状ですが、少しでも早く異変に気づいて治療を始めることが、糖尿病にならず、ひいては合併症を防ぐ大事なポイントです。

坂田さんはすぐに医療機関を訪れて、今の体の状態がわかりました。だから、今日から血糖値を下げる方法を探っていきましょう。大丈夫ですよ!」

〈先生からの処方箋〉

「生活習慣病」という名称に惑わされないで! 糖尿病は体質も大きく影響する病気