日本の成人の約5人に1人は「糖尿病」または「糖尿病予備群」だと推計されています。「生活習慣病」の代名詞というイメージもある糖尿病ですが、実は、原因の半分は生活習慣以外にあることはご存じでしょうか? 糖尿病内科医・大坂貴史氏の著書『血糖値は食べながら下げるのが正解』(KADOKAWA)より、糖尿病にまつわる“誤解”をみていきましょう。
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糖尿病の原因は「食べすぎ」「運動不足」の生活習慣ではない!?…多くの日本人が“避けられない”糖尿病になる原因【糖尿病専門医が解説】
家族歴があると糖尿病リスクは「2~3倍」に
「ちなみに血糖値が高い状態が続くと、どうなるかわかりますか?」
「糖尿病から合併症を起こす人が出てきます……」
「そうです。血糖値が高い状態が続くと血液循環が悪くなって、傷が治りにくくなったり、血管や神経に負担がかかったり。心臓病や脳卒中、合併症のリスクが上がります。糖尿病の3大合併症は感覚の働きに障害が出る『神経障害』や腎臓の障害『腎症』、視力障害の『網膜症』です。糖尿病が怖いと言われる理由は、こうした合併症になるリスクがあること。だから、血糖値を安定させることが大切なのです」
バラバラだった情報が少しずつつながってきた気がする。
「私のように家族歴があると、糖尿病のリスクは高くなりますか?」
「そうですね。家族歴があると、男性も女性も2〜3倍、糖尿病リスクが上がるというデータがあります」
「そうですか……。今は“境界型”でも、将来的には糖尿病になるんでしょうか。正直、40代で糖尿病の一歩手前だと言われて不安です」
「現在、成人の5人に1人は糖尿病か、その予備群と言われています。予備群を合わせれば、その数は約2,000万人と推計されます。きちんと診断や治療を受けていない人が多いのが現状ですが、少しでも早く異変に気づいて治療を始めることが、糖尿病にならず、ひいては合併症を防ぐ大事なポイントです。
坂田さんはすぐに医療機関を訪れて、今の体の状態がわかりました。だから、今日から血糖値を下げる方法を探っていきましょう。大丈夫ですよ!」
〈先生からの処方箋〉
「生活習慣病」という名称に惑わされないで! 糖尿病は体質も大きく影響する病気