(※写真はイメージです/PIXTA)

セットバックとは、隣接する道路を増幅するために敷地面積を一部後退させることをいい、不動産投資の観点からはリスクの高い物件と評価されることがあります。本コラムでは、セットバックの意義や注意点、必要な費用を分かりやすく解説し、セットバック物件を購入してもよいケースを具体的に紹介します。

セットバックにかかる費用

ここでは、セットバックにかかる費用の目安や、実際に誰が費用を負担するのかという点について解説します。セットバック費用の取り扱いについては自治体によって運用が異なるため、本コラムでの数値は参考とし、土地を購入する前に必ず自治体に確認するようにしましょう。

 

セットバック費用は原則自己負担だが補助金があることも

セットバックに必要な費用は、一般的に30万円〜130万円程度です。このように大きな幅があるのは、セットバックに際してどのような措置が必要となるのか、状況によって異なるためです。具体的には、次のような費用項目が挙げられます。

 

セットバックに必要な費用の例

 

  • 境界確定・土地の測量費用:30万円〜50万円
  • 既存設備(擁壁など)の撤去費用:10万円〜
  • 敷地と道路値の分筆登記費用:5万円〜10万円
  • 道路仮整備費用:20万円〜60万円
  • 重機利用費用:5万円〜

 

など

 

特に、土地の境界線が不明確で境界確定測量が必要となる場合や、大規模な擁壁工事が必要となる場合では、セットバック費用だけで数十万円以上となってしまう場合もあります。

 

セットバック費用は、基本的には土地の所有者が負担しますが、自治体によってはセットバックに関する助成制度が実施されていたり、費用を一部負担してくれていたりします。例えば東京都新宿区の場合、測量費用として最大10万円、整地費用に最大10万円などの助成を受けられます。また、河川と隣接しているような場合には、別途で擁壁工事などの助成を受けられることもあります。

 

このように、セットバックに必要な費用や助成金の扱いについては、土地の状況や自治体によって大きく異なります。そのため要セットバックの土地を購入する際には、あらかじめセットバック費用を見積もり、自治体にも相談するようにしましょう。

 

セットバックした土地に固定資産税はかからない

セットバックした土地が公道になる場合はもちろんのこと、私道となる場合であっても、その土地の固定資産税を支払う必要はありません。セットバックした土地は所有者であっても自由に利用することができなくなる以上、税金の負担だけを課すのは酷だと考えられているためです。

 

ただし、非課税とするためには自治体への申告が必要になるので、忘れないようにしましょう。

 

また、セットバックした土地を道路として公共の用に供していないと判断される場合(例えば、勝手に夜間通行止めとする場合や、私物を置いて占有している場合など)には、固定資産税の免除措置は受けられません。

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