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共同担保とは、複数の不動産に担保権を設定することです。共同担保を活用することで、有利な条件で融資を受けられるというメリットがある一方、売却が困難となるなどのデメリットもあります。本コラムでは、共同担保の意義や、メリット・デメリット、共同担保を活用すべき具体的なケースや注意点などを詳しく解説します。

共同担保について知っておくべき注意点

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共同担保は、有利な条件で融資を受けられる可能性があるなどメリットがある一方で、いくつかの注意点も存在します。ここでは、共同担保を利用する際に特に注意すべき点について解説します。

 

売却が困難となる

共同担保に入れた不動産は、売却が困難になるという点に注意が必要です。

 

抵当権が設定されている物件でも、法律上、売却すること自体は可能です。しかし、抵当権付きの物件は、買い手にとってリスクがあるため、抵当権が付いたままでは売却できないのが一般的です。買い手は、もし元の所有者(債務者)がローンを返済できなくなった場合に抵当権を実行され、物件を失う可能性があるからです。

 

このようなリスクを避けるため、すでにローンを完済している場合や、売買代金でローンを完済できる場合には、売却に先立って抵当権の抹消登記を行うか、所有権移転登記と同時に抵当権の抹消登記を行うことが一般的です。

 

抵当権が抹消されれば、その不動産は抵当権のない物件と同等の評価を受けられるようになり、適正な価格で売却できる可能性が高まります。しかし共同担保の場合は、後述するように、一部の不動産の抵当権だけを抹消することが難しいため、売却のハードルはさらに高くなるといえるでしょう。

 

共同担保の片方だけを抹消することは難しい

共同担保を設定した場合、共同担保を設定したうちの一部の不動産だけを抵当権から外す(抹消する)ことが原則として難しい、という点も重要な注意点です。

 

共同担保は、複数の不動産をまとめて一つの担保として評価しているため、金融機関としても全体の担保価値を重視したうえで融資額を決定しています。そのため、土地と建物を共同担保にしていて、建物だけを抵当権から外したいといった場合も、金融機関は容易には応じないと想定されます。建物だけを抹消してしまうと、残された土地だけの担保価値では、融資額に見合わなくなる可能性があるからです。

 

このように共同担保は、複数の不動産がセットで評価されていることを前提としているため、一部の不動産だけを自由に処分したり、抵当権を抹消したりすることが非常に困難になります。

 

将来的に売却や建て替えの可能性がある不動産を共同担保に入れる場合は、この点を十分に考慮し、一部の不動産の抵当権を抹消するための条件を、借入をする前に金融機関に対して確認しておく必要があります。

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