認知症を予防するには「小さくてもよいので趣味をもつことがよい」と医師の和田秀樹氏はいいます。本記事では、和田氏が70代、80代を楽しく生きるために知っておくべき「新常識」について著した『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)より一部抜粋・再編集して、認知症の予防・進行抑制に役立つ「脳を活性化させるコツ」を詳しく解説します。
85歳以上の日本人の5人に2人は「認知症」と診断。医師・和田秀樹氏が教える「認知症」と「ど忘れ」の違い。ペンと紙さえあれば0円でできる〈認知症予防〉に効果的なこと
趣味による認知症の予防効果:趣味を持って意欲的に活動することが認知症を遠ざける
趣味を持ち続けることは脳を活性化させる
趣味がない人は、定年後、頭を使わなくなりますから、認知症になるかどうかは別にしても、ボケたようになりがちです。さらに、前頭葉が弱って意欲が衰えてしまうようになると、本当に認知症になったり、なった際には速く進行したりする確率が高まります。一方、趣味のある人は、仮に将来、認知症になってしまっても進行が遅い傾向にあります。
趣味としておすすめなのは、文章を書くことです。お金はほぼかからず、いつからでも始められます。最も手軽な趣味です。認知症になった人に対して医者ができることは、脳を活性化させる薬を使って少しでも脳を動かせるようにすることと、デイサービスや買い物、料理などをすすめて、頭を使わせることです。このときにものを書く趣味があれば、それをやってもらえればいいのです。
認知症になってからでは、趣味を見つけてもらうことは困難です。40代、50代、60代のまだ脳がボケる前から文章を書いていれば、それが脳の老化予防になりますから、認知症にもなりにくいのです。仮に脳が衰えても、認知症の発症が遅くなり、たとえ発症したとしても、その後の進行が遅くなる可能性が非常に高いのです。
もし2年間でも認知症の進行を遅らせることができれば、人生のなかで認知症患者として過ごす期間を2年間減らすことができます。その分、人生の質を上げて楽しく過ごせるのです。
日々の出来事を記す日記でも十分な効果
文章は特別なことを書く必要もありません。日記などでも十分です。京都の駿台予備校で名物講師であった表三郎さんは、京大式カードというB6サイズのカードに、今日行ったことを箇条書きにする日記を付けていました。そこに自分の意見は何も書かれてはいませんが、その日に起こったことや、行ったことを書くことが彼にとって最高のアウトプットになったのだと思います。
しかも、のちに彼はその日記について『日記の魔力 この習慣が人生を劇的に変える』(サンマーク出版)という著書にまとめ、ベストセラーとなりました。
日記以外にブログ、ユーチューブでも構いません。脳を活性化させるためにはインプットよりもアウトプットを意識しましょう。最も簡単なアウトプットの方法は「文章を書く」と「他人と話すこと」です。これらは脳にとって最高の記憶の引き出し=アウトプットのトレーニングとなり、脳の健康を保つ効果があるのです。
![[図表2]趣味の種類の数と認知症発症の関係](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/b/6/540mw/img_b635d0410ae9049cded5be2fc98006b646994.jpg)
![[図表3]趣味の種類の内訳](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/4/6/540mw/img_46fc442d260db5defd0af7441dedd6b076460.jpg)