NISAで人気の「オルカン」「全米株式」の意味と、その先にある選択肢

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株式会社sustenキャピタル・マネジメント
NISAで人気の「オルカン」「全米株式」の意味と、その先にある選択肢
※画像はイメージです/PIXTA

本連載『GeekなNISA』ではNISAを最大限活用するための知識・考え方をお伝えしてきましたが、前回は含み益を拡大させる手法としてパッシブ投資についてご紹介しました。その結論として、「(理論上は)すべての資産を時価総額比率で保有することがもっとも効率が高い」ということ、そして理論上の究極のパッシブ投資では上場株式だけでなく、債券や不動産など、投資可能なすべての資産を保有すべきということをお伝えしました。一方、NISAの人気商品を見ると、「オルカン」と呼ばれる全世界(オールカントリー)の上場株式に投資するインデックスファンドや、S&P500指数に連動する米国株式インデックスファンドが特に注目を集めています。これらも一般的にはパッシブ投資に分類されますが、本連載で説明している究極のパッシブ投資とはどこが異なるのでしょうか。株式会社sustenキャピタル・マネジメント 代表取締役/最高経営責任者(CEO)の岡野大氏が解説します。
※本記事で使用している「オルカン」は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に係る三菱UFJアセットマネジメントの登録商標です。

「債券は長期投資に適さない」という“誤解”

オルカンよりも究極のパッシブ投資に近い商品としては、債券と株式等を組み合わせて保有するバランスファンドもあります。バランスファンドもまた長期的にはオルカンより高い投資効率(シャープレシオ)を期待できますが、期待リターンは低くなります。

 

したがって、オルカンの持つ不確実性を許容できる投資家にとっては、オルカンのほうが究極のパッシブ投資やバランスファンドよりも魅力的な投資商品といえるでしょう。

 

なお、時折「債券は成長しないため、長期投資に適さない」という声を耳にしますが、これは完全な誤解です。

 

各資産は、その特徴に基づいて相互に影響し合いながら価格が形成されています。株式だけがリターンを生むわけではなく、債券もリスクに見合ったリターンを期待できます。債券も株式と同様に、長期投資のポートフォリオに適した資産です。

 

全世界の上場株式に“集中投資する”ということがオルカンのコンセプトだと理解すれば、S&P500指数に連動するような全米株式ファンドの位置づけも明確になります。オルカンが全世界の株式に重点的に投資するのに対し、全米株式ファンドはさらに一歩進んで米国株式のみに集中投資する商品です。

 

オルカンか全米株式かという比較がよく話題になりますが、全米株式のほうがより集中度の高いポートフォリオだと理解すれば、その違いは明確です。

 

予想されるとおり、長期的には全米株式のほうがオルカンと比べてリスクもリターンも高くなる傾向があります。そのため、オルカン以上のリスクを受け入れられる投資家にとって、全米株式ファンドは魅力的な選択肢となるでしょう。

 

ただし、これらの議論はあくまでも期待値に基づく話であることを忘れないでください。

 

サイコロを例に考えてみましょう。通常のサイコロA(期待値3.5)と、特殊なサイコロB(すべての出目に0.1が加算され、期待値3.6)を比較すると、期待値ではサイコロBが優位です。しかし、実際にAとBのサイコロを同時に振ると、AがBを上回る確率は42%もあります。

 

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