新NISAの“メリット”を最大限活かすなら「個別銘柄」と「投資信託」のどちらを選ぶべき?【資産運用のプロの回答】

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株式会社sustenキャピタル・マネジメント
新NISAの“メリット”を最大限活かすなら「個別銘柄」と「投資信託」のどちらを選ぶべき?【資産運用のプロの回答】
※画像はイメージです/PIXTA

岡野大氏による連載『Geek(ギーク)なNISA』です。岡野氏は、ゴールドマン・サックス・アセットマネジメントでの運用業務を経験後、日本の個人投資家に質の高いサービスを届けるため、2019年に株式会社sustenキャピタル・マネジメントを創業しました。本連載では、「長期・分散・積立が大事」といった一般論ではなく、マニアックな視点でNISAを使い倒す考え方を紹介します。

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マニアックにNISAを考察する『GeekなNISA』 

2024年から始まった新NISAも、間もなく2年目を迎えようとしています。NISAの仕組みや魅力については至るところで目にするようになり、利用者数もうなぎのぼりで増加しているとのことです。しかし、意外にも「どうすれば一番NISAをうまく使えるのか」といった視点での記事は少ないですよね。

 

そこで今回から『GeekなNISA』と題し、NISAを徹底的に使い倒す考え方をお届けしていきます。なるべく論拠を持って考え方を紹介していきますが、筆者は運用会社の代表取締役ですので、ポジショントークを疑うくらいの気軽さで読んでいただければ幸いです。

 

今回は「NISA口座では株式の個別銘柄と投資信託のどちらを選ぶべきか」がテーマです。

 

金融庁の公表によれば、2024年6月末時点でNISA成長投資枠における商品別買付額の統計では、株式の個別銘柄(上場株式)に投資されている比率は全体に対して46.2%とのことです。

 

つまり成長投資枠のおおよそ半数が個別株への投資に使われている状況で、本当に優先すべき選択肢とは何でしょうか?

「軌道修正」が必要な投資はNISAに不利  

結論として、よほどのこだわりがない限り、NISAでは投資信託への投資を優先することをおすすめします。これは、NISA制度を最大限活用する際、個別銘柄への投資は投信に比べて不利に働く可能性があるからです。

 

いきなり身も蓋もない話となりますが、個別企業(銘柄)の将来を長期間にわたって見通すのは非常に難しいことです。筆者は前職でファンドマネージャーとして個別銘柄を分析してきましたが、機関投資家でも将来を高確率で予測できるのはせいぜい2期先までと感じています。

 

読者のなかにも、企業予想やアナリスト予想がほとんど当てにならないと感じた経験を持つ人も多いのではないでしょうか。これは企業やアナリストの能力が問題なのではなく、純粋に世の中の不確実性が人間の予見可能性を超えている表れだと考えています。

 

個別企業の将来を見通すのは難しいという前提に立てば、個別銘柄の投資には常に”軌道修正”が求められることがわかります。

 

軌道修正とは、日々得られるニュースや四半期ごとに開示される決算情報などをもとに、その企業に対する収益予想を検証し、修正していくという地道な作業です。うまく行っているときには問題になりにくいですが、時には投資金額を減らす、あるいは投資銘柄を変える必要があるかもしれません。

 

そしてこの軌道修正こそが、NISAという制度を使い倒すときには不利に働く可能性があるのです。

 

NISAには投資可能な上限を定める生涯枠や年間枠という概念がありますが、この枠は「簿価残高方式」と呼ばれる方式で管理されます。(ちょっと聞き慣れない言葉が出てきましたが、この「簿価残高方式」は重要な鍵を握るため、覚えてしまって損ではないはずです。)

 

ここでは、簿価残高方式について詳細に解説することは控えますが、この簿価残高方式を突き詰めると、「一度買ったものは(基本的には)なるべく売りたくない」という性質を持つことがわかります。

 

NISA口座で保有している資産を売るということは、少なからず非課税枠を一度手放すことを意味します。利用できる枠が無限にあれば非課税枠を手放しても問題になることはありません。しかし、単年あるいは生涯で使える枠が限られている条件の下では、細かく売買したり銘柄を入れ替えたりするような軌道修正は、NISA利用にとって不利に働いてしまいます。

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