
両親の突然の変化に息子たちは戸惑い…
Aさんたちは世界一周旅行から帰宅後、たくさんのお土産を持って長男一家のもとへ遊びにいきました。次男一家も集うその場で、息子たちは言葉を失います。両親の変化に驚いてしまったのです。次男に至っては「もしかしてもうボケちゃって、詐欺師にでも騙されているのでは?」などという始末。
それもそのはずです。確かに父Aさんは現役時代、高所得者でした。だからといって両親が浪費をしているところなど、みたことがなかったのです。身の丈よりも少し低いくらいの生活レベルで過ごす、それが息子たちからみた両親のイメージでした。どうやら息子たちには、両親が老後に突然浪費しだしたようにみえたようです。
Aさんは笑って、これからの計画について息子たちに話しました。丁寧に、それも生前贈与について考えてあることも意思表示したことによって、段々と息子たちも納得してくれました。いまでは「自分たちで築いてきたお金だもんね。楽しく生きてくれていることが一番だよ」と、応援してくれているそうです。
「資産を減らすことが怖くなくなった」
A夫婦なりの資金計画を立てたことで、2人はお金を使うことへの不安が消えました。
「お金を貯め続けるのが目的ではなく、どう使うかを考えることが大事なのね」Bさんがしみじみと語ります。
Aさんも「お金を残すことを考えるのではなく、どうやって最適に使うかを計画することで老後の不安がなくなった」と笑顔を見せました。
「もったいない」を克服! お金を使うための考え方
「せっかく貯めたお金を使うのはもったいない……」と考える人は多いでしょう。しかし、そのお金を使わなかった場合、どうなるのでしょうか?
●家族が相続税を払うことになる?
●お金を使わないまま、後悔が残る?
「お金の価値は使ったときに生まれる」という考え方もあります。「貯める」よりも「いま使うこと」で、人生の満足度は大きく変わるかもしれません。
お金を使うことで、「最高の経験」を手に入れられるなら、それこそが「本当に価値のあるお金の使い方」となることでしょう。またA夫婦のように、元気なうちに家族間でお金の使い方について共有しておくことは、後々のトラブルを防ぐうえでも非常に重要になります。
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス
代表