複雑な公的年金のルール。しっかりと理解していないと想定していたマネープランと大きな相違が生まれ、生活に支障をきたすというケースも。それは家族が亡くなり、遺族が受け取れる遺族年金についても同じです。
ふざけるな!66歳妻〈年金月25万円〉繰下げ受給を選択した享年72歳夫に感謝も、遺族年金の手続きで訪れた「年金事務所」で大激怒のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

夫が急逝…本人の希望もわからず、葬儀・納骨を済ませた

45年連れ添った夫・豊さん(仮名・享年72)を急に亡くした、妻・久美子さん(仮名・66歳)。70歳まで忙しく仕事をしていた豊さん。穏やかな日々は、わずか2年で幕を閉じました。

 

――駅前まで封筒を買ってくる

 

そう告げて出ていった豊さん。そのまま帰ってくることはありませんでした。駅に向かう途中で苦しそうに倒れているのを、通りすがりの人が気が付いて119番通報。緊急搬送されましたが間に合わず、帰らぬ人になったのです。急性心筋梗塞でした。

 

深い悲しみのなか、葬儀はしめやかに執り行われました。

 

――万一のとき、どうしたいか、きちんと話し合っておくべきだった

 

久美子さんはそう悔やんでいるといいます。葬儀はいわゆる一般葬。ただ近年では、家族などの近親者のみで行い、近親者以外の弔問客の参列を控える家族葬も増えています。どちらかといえば、人見知りだった豊さん。

 

――もしかしたら夫は家族葬を希望したかもしれない。たくさんの人に来てもらったら、照れてしまうと思うの、夫は。お墓も本当はどうしたかったのか。わからないから想像するしかなくて

 

【行った葬儀の種類】

・家族葬…50.0%

・一般葬…30.1%

・一日葬…10.2%

・直葬/火葬式…9.6%

・その他…0.1%

 

【葬儀費用の平均額】

・家族葬…105.7万円

・一般葬…161.3万円

・一日葬…87.5万円

・直葬/火葬式…42.8万円

出所:株式会社鎌倉新書『お葬式に関する全国調査(2024年)』

 

葬儀を終え、納骨を済ませ、ようやく今後のことを考えられるようになりました。老後のためにとコツコツと貯金を進めてきたし、豊さんの退職金も手つかずで残っています。当面、お金に困ることはなさそうです。

 

――私ひとりになっても、お金の心配は何ひとつない。夫に感謝ですね