
最低生活費を超える預貯金があると生活保護は難しい…
さらに節約を心がけたのが食費。1日3食を2食に、そして1食へと減らしました。スーパーには基本、閉店間際しかいきません。割引商品を目当てに通い、賞味期限ギリギリの食材をかき集めるのです。とても栄養バランスなど考える余裕などありません。体調が悪い日も多いといいます。
国民健康保険料や介護保険料の支払いも重くのしかかります。体調を崩しても、医療費を気にして病院に行くのをためらうようになりました。持病の薬も自己判断で量を減らし、症状が悪化することも。日々の生活で精いっぱいの悦子さんにとって、将来への不安は計り知れません。
生きていくだけで大変。そこでふと頭をよぎったのが生活保護でした。しかし、一度役所に説明を聞きに行ったとき、最低生活費以上の預貯金があるうちは生活保護を受けるのは難しい……そう感じたといいます。
悦子さんが住んでいる自治体の最低生活費は7万4,220円(70~74歳、1人暮らし)。さらに住宅扶助は5万3,700円。つまり合計月12万7,920円が最低限の生活を送るのに必要だということです。それに対して、悦子さんの生活費は月7万円。生活保護よりも少ない金額ですが、預貯金を考慮すると生活保護を受けることは難しいのです。
――貯金が底をついたら生活保護の基準額を下回るから、そしたら申請に来てくださいって。生活が楽になるならいっそうのこと散財しちゃおうかしら。大した散財なんてできないんだけどね
生活保護を受けるよりも貧しい思いをしなければならない……そんな生活に限界を感じる今日このごろだといいます。
厚生労働省『被保護者調査』によると、昨年12月時点で生活保護を受けているのは165万2,199世帯。そのうち高齢者世帯は90万2,810世帯と半数以上を占めています。しかし悦子さんのように、生活保護以下の生活を強いられている高齢者は、このような数字として見えてきません。人知れず、耐えるしかないのです。
[参考資料]