
夫が亡くなり生活費月14万円→7万円に半減
街のコミュニティセンターでくつろぐ佐々木悦子さん(仮名・73歳)。朝9時の開館と共に訪れ、オープンスペースで過ごすのが日課になっています。
――家にいると暖房費がかかるから。ここで過ごせば、少しは節約になるでしょ
このような日常を送るようになったのは、昨年、夫・博さん(仮名・享年75歳)が亡くなってから。
――毎朝6時には起きてくるのに、その日はいつまで経っても起きてこなくて。布団のなかで冷たくなっていたのよね
急性心筋梗塞。元気だけが取り柄の人だったのに……と悦子さん。携帯電話のなかに残る博さんの写真を眺めながら懐かしそうに話します。夫婦は約50年間、二人三脚で飲食店を切り盛りしてきました。しかし博さんが亡くなったことで店を閉店。心にぽっかりと穴が開いたような感覚が今なお消えません。
――ずっと仕事をしてきたから。急にすることがなくなってしまって……本当に1日が過ぎるのが長いわ
博さんが亡くなってからは、携帯に残る動画や写真を見ては博さんとの思い出に心苦しくなる……そんな日々でしたが、最近はそれどころではないといいます。原因は経済的な困窮。
飲食店を続けてはいたものの、収支はトントン。生活は夫婦の年金が頼りでした。基礎年金夫婦で月14万円ほど。それでも仕事以外することがほとんどない夫婦にとって、十分な生活費だったといいます。しかし博さんが亡くなると、年金は悦子さんの基礎年金月7万円だけに。2人が1人になったからといって、支出が半分になるわけではありません。月7万円で家賃、食費、光熱費、通信費……毎月赤字となり。元々少ない貯蓄を少しずつ少しずつ取り崩していかないと、とても生活はまわりません。できるだけ節約しようと、“家にいない生活”を始めて半年ほどになります。