株式会社野村総合研究所によると、2023年の日本における純金融資産保有額が5億円以上の「超富裕層」は推計11.8万世帯、1億~5億円未満の「富裕層」は153.5万世帯、さらに5,000万~1億円未満の「準富裕層」は403.9万世帯、3,000万~5,000万円未満の「アッパーマス層」は576.5万世帯、3,000万円未満の「マス層」は4,424.7万世帯と推計されています。つまり、日本において全世帯の約2.8%が「富裕層」、約0.2%が「超富裕層」であり、これらを合わせると約3%が富裕層および超富裕層に該当します。この割合が多いか少ないかの感じ方は人それぞれですが、近年、富裕層および超富裕層の世帯数は増加傾向にあります。決して「富裕層なんて浮世離れした世界の話」というわけでもないようです。
私たちも富裕層の仲間入りね…〈年金夫婦で月29万円〉地方在住・65歳の元共働き夫婦が余裕の笑み。質素倹約の末に実現した「ものすごい資産額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

特別なことはしていない。2000年から無理のない範囲で積立投資を始めたら…

どうしたら1億円以上の資産を築くことができるのか。「特別なことは何もしていない」と前置きしつつ、「相続は大きかった」と健一さんは語ります。

 

――40歳のときに父親が亡くなって、私(健一さん)は実家を相続しました。兄弟は私を含めて3人いましたが、地元に住んでいるのは私だけ。当時の住まいは賃貸だったのですが、それなら実家を相続して住めばいいと

 

【注文住宅取得者に聞いた】

Q.土地の取得方法は?

相続を受けた…11.9%

贈与を受けた…3.7%

 

Q.購入資金の内訳のうち、相続・贈与は?

遺産相続…124万円

贈与…145万円

 

Q.住宅ローンの有無について

住宅ローンあり…74.8%

住宅ローンなし…17.0%

出所:国土交通省『2023年度 住宅市場動向調査』

 

実家を相続したことで、多くの人が経験する住宅ローンの返済に悩まされることはありませんでした。余裕をもって税金や修繕費用を用意するだけという、何とも羨ましい立場になったわけです。

 

ただ、住宅購入分だけ貯蓄できたとしても、富裕層への道はまだ遠いものがあります。相当な資産運用の手腕を持っているのでは?

 

――いやいや、常に質素倹約を心がけたうえで、普段の生活費は私(健一さん)の給与だけに留めるようにする。妻の給与はできるだけ預貯金や投資信託などにまわし、大きな出費が必要なときだけ、そこから補填する……ただそれだけのことをしてきました

 

支出は夫の給与、貯蓄は妻の給与という実にシンプルな家計管理法。40代になって仕事復帰してからは、年収400万円弱だったという絵美さん。そのうち300万円を毎年貯蓄等にまわすと、25年で7,500万円。さらに投資信託と株式投資を、2000年以降、趣味程度に行ってきたという山本さん夫婦。

 

――2000年代は、日経平均が2万円を超えるようなことはなく、1万円を切るような状況のときもありました。しかし一喜一憂せず、無理のない範囲でコツコツと積立投資をしていたら、2010年代の後半には2万円を超えるようになって、ここ2年くらいは3万円を超えて……評価額がすごく増えて、驚いています

 

前出の野村総合研究所の調査によると、コロナ禍前の2019年、超富裕層は8.7万世帯から11.8万世帯と35%増加し、富裕層は124.0万世帯から153.5万世帯と23%増加しました。さらに、準富裕層も18%増加しています。一方で、アッパーマス層は約2割減少しています。これは、一般層を一歩リードしていた人たちが、昨今の株高を受けて大きく資産を増やし、準富裕層、さらには富裕層の仲間入りを果たすという、夢のような事例が多く見られることを示唆しています。

 

投資の基本として推奨される積立投資は、時間を味方につけるほど、その効果が大きくなります。例えば、40歳から毎月10万円を年率1%で積み立てると、10年で1,262万2,596円、15年で1,942万0,808円、20年で2,656万5,796円、25年で3,407万5,252円となります。年率1%であっても、ただ預貯金するよりも大きな差が生まれることは明らかです。もちろん、山本さん夫婦が「たまたま私たちは時期がよかっただけですよ」と述べているように、投資は必ずしも利益を生むものではなく、リスクが伴います。すべては自己責任であることを忘れてはなりません。

 

[参考資料]

株式会社野村総合研究所 2025年2月13日ニュースリリース

国土交通省『2023年度 住宅市場動向調査』