(※写真はイメージです/PIXTA)

物件の価値を適切に把握することは、不動産投資を成功させるために非常に重要な要素のひとつとなります。不動産の価値を算出する方法には様々なものがありますが、不動産投資では収益還元法が用いられることが一般的です。本コラムでは、収益還元法の概要や計算方法について、具体例を挙げて詳しく解説します。また、他の計算方法との違いや、収益還元法を用いるメリット・注意点も解説します。

収益還元法に基づく物件価格を高める方法

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収益還元法に基づく物件価格を高めるためには、物件の収益性を高めることが重要です。以下からは、物件の収益性を高める3つの具体的な方法を解説します。

 

賃料を上げる

収益性を高める最もシンプルな方法は、賃料の値上げです。ただし、単なる値上げは入居率の低下を招く必要があるため、入居者が値上げに納得できる理由を用意する必要があります。

 

例えば物件のリフォームや、人気設備(インターネットや宅配ボックスなど)の導入が伴えば、入居者への満足度が高まり賃料の値上げを行っても入居率の低下につながりにくいです。また、現状の賃料が相場よりも低い場合には、値上げがスムーズに進む可能性があります。

 

そのため、定期的に不動産情報サイトで物件検索をしたり、地場の不動産業者に聞き込みをしたりして、周辺の賃料相場について把握することも重要です。

 

入居率を高める

入居率の向上も収益性を改善する重要なポイントです。リノベーション等によって物件の魅力を向上させ、柔軟な賃貸条件の設定を行うことで、満室稼働に近づけられるようにしましょう。

 

また、一定のコストは生じるものの、賃借人の募集業務を不動産管理会社に委託することで、専門的なネットワークにより効率的に入居希望者を募ることができます。委託せずに自主管理とする場合には、日頃から物件周辺の不動産会社とのコミュニケーションを円滑にし、良好な関係を築いておくことも重要です。

 

経費を下げる

必要経費を見直し、純収益を増やすことで、物件価値を高めることも可能です。経費削減の対象としては、物件管理費や修繕費などが挙げられますが、サービスの低下は入居者満足度の低下(空室リスク)につながるため、費用対効果の見極めが不可欠です。

 

管理会社の変更を検討する場合には、その管理会社の管理物件を実際に見に行ってみるなどして、サービスの質を確認するようにしましょう。

収益還元法を利用する際の注意点

収益還元法は不動産価格の算出に有用な手法ですが、正確な評価を行うためにはいくつかの注意点があります。ここでは、収益還元法を活用する際に留意すべき3つのポイントを解説します。

 

直接還元法とDCF法を組み合わせて用いる

直接還元法は計算がシンプルで手軽に用いることができますが、精度の点では限界があります。そのため、より詳細な将来収益の分析が可能なDCF法も併用し、結果を相互に検証することが重要です。

 

実際に、国土交通省が定める『不動産鑑定評価基準』では、第一にDFC法を用いることとしており、補充的に、直接法と他の計算方法を組み合わせて検証を行うことが推奨されています。

 

”基本的に収益還元法のうちDCF法により求めた試算価格を標準とし、直接還元法による検証を行って求めた収益価格に基づき比準価格及び積算価格による検証を行い、鑑定評価額を決定する。”

出典:国土交通省ウェブサイトhttps://www.mlit.go.jp/common/001037632.pdf

 

データの妥当性を確認する

収益還元法の精度は入力データの正確性に大きく依存します。例えば、予測される賃料収入や空室率、運営費用のデータが不正確であれば、結果も不正確となってしまいます。特に、直接還元法で得られた価格とDCF法で計算した価格が大きく乖離している場合は、計算過程や使用したデータの見直しが必要です。

 

そのため、過去の実績データや市場動向を基に、現実的で信頼性の高いデータを収集することが大切です。また、地域や物件特性によるリスク要因も考慮に入れ、計算に反映させる必要があります。

 

計算結果だけを不動産投資の判断材料としない

収益還元法はあくまで価格評価の一手法であり、投資判断を下す際には、他の要因も慎重に考慮する必要があります。例えば、再開発計画や交通網の整備、人口動向の変化といった外部要因が物件の収益性に影響を与えることも多いため、物件以外の要因にも注意が必要です。

 

また、将来的な賃貸ニーズや地域特性を見極めることも重要です。計算結果だけを過信せず、総合的な視点で投資判断を行うことで、リスクを最小限に抑えるようにしましょう。

 

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