毎月25万円の年金と3,000万円の貯蓄で、ささやかながらも充実した老後を過ごしていた田中さん夫妻。しかし、ギャンブル依存症の夫から逃れるように一人娘が3歳の孫を連れて実家に戻ってきたことで、平穏な日々は一変します。わずか半年で300万円もの貯蓄が目減りし、途方に暮れる夫妻の苦悩とは。今回は、具体的な事例をもとに「想定外の老後」問題とその解決策を、FPの三原由紀氏が解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
これから一生、娘と孫のために生きる人生なのか…年金月25万円と貯金3,000万円で静かに暮らす60代夫婦、慎ましくも幸せな老後が消え去ったワケ【FPの助言】
FPが指南する「優しさ」と「自立」のバランス
では、こうした状況に直面したとき、どのようにバランスを取るべきなのでしょうか? 専門家の視点から、親としてできる具体的な解決策を以下に提案します。
1. 家族会議の定期開催
・月1回など定期的に家計の状況を共有する
・各自の予定と育児分担を確認する
・就職活動の進捗を報告する
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2. 美香さんの自立支援
・ハローワークの職業訓練や保育所優先入所制度など公的支援について話し合う
・自治体の独自支援も考慮し、まずは自治体の窓口への相談を促す
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3. 養育費の請求サポート
・養育費相談支援センターや法テラスでの法的支援(収入要件あり)への相談を促す
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4. 支出管理の明確化
・光熱費の使用ルールを決める
・親のお金で暮らす場合、娯楽費や交際費の上限を決める
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5. 生活ルールの確立
・育児分担や外出時間など同居の基本ルール決める
家族の絆を守りながら、次のステップに進むための体制づくりが重要です。
この助言を受けた田中さん夫妻は、週末の温泉旅行を再開。美香さんも職業訓練に前向きな姿勢を見せ始めました。孫との大切な時間を確保しつつ、娘の自立を支援する新たな家族の形が、少しずつ見えてきています。
三原 由紀
プレ定年専門FP®