軽い楽しみのはずが、老後資金を使い込む事態に

最初は競馬に使うお金は月に1〜2万円程度でしたが、勝てば「もっと増やせる」と賭け金はどんどん増えていきました。

しかし、そううまくはいかないもの。最初は数万円の勝ちもありましたが、徐々に負けが増え、負けを取り戻そうとして一回の賭け金がさらに高額になっていきました。

歯止めがきかなくなってしまった宮本さんは、毎週1〜3万円賭ける生活が習慣化。しかも予想が当たらず負けが続いても、「次こそは勝てる」と思ってやめられません。負けを取り戻そうと使い続けてしまう負のループに陥ってしまいました。

初めは宮本さん個人の貯金から競馬に使うお金を出していましたが、すぐに貯金残高は底をつき、年金が振り込まれている口座のお金にも手をつけるようになりました。

「年金は毎月入るから大丈夫」と思い込んでいた宮本さんでしたが、ついに年金だけでは足りず、貯蓄を切り崩すようになってしまったのです。

みるみる老後資金が減り、ついに離婚危機に発展

ある時通帳の残高を見た妻は、こんなに減っているのはおかしい、と気がつきました。年金で生活費は賄えているはずだし、ここ最近は特に大きな買い物や旅行などもしていないのに、こんなに残高が大きく減っているはずはありません。

ATMで頻繁に下ろしている形跡もあるため、不思議に思った妻が宮本さんに聞くと、「競馬に通うようになり、初めは勝つこともできたが、負けが続くこともあり、いつか勝って取り返せると思いながら、引き返せなくなってしまっている……」と打ち明けられたのです。

この時の宮本さんは、1回の賭け金が5万円以上に膨らんでいました。年金と貯金も取り崩してつぎ込んでいる状態でしたが、それでも負けを取り戻そうとして賭けるのをやめられません。妻に隠しながら続け、発覚したときには深刻な状態になっていました。

「なんてことをしてくれたの! 競馬なんて儲かるわけないじゃない。そんなことにハマって大事な老後のためのお金を使ってしまうなんて、そんなことをする人ともう一緒に暮らしていけません!」

と、宮本さんは妻から離婚を突き付けられてしまったのです。