FP office株式会社の髙屋亮FPによると「年収1000万円前後の世帯ほど『老後破綻』に陥りやすい」そうです。現役時代にしっかり稼いでいれば老後は安泰のはずですが、いったいなぜなのでしょうか。年収1,000万円のサラリーマンAさんの事例をもとに、老後破綻に陥る原因と解決策をみていきましょう。

(※写真はイメージです/PIXTA)
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A夫妻が長年我慢していた“とある趣味”
筆者「収支改善が達成したらやりたいことや老後の夢はありますか?」
Aさん「実は、妻も私も、旅行が大好きなんです。でも、息子の中学受験が始まったころからまったく行けておらず……娘が無事大学に受かったら家族旅行をしようと話していたところなんです。そしてゆくゆくは、妻と2人で色々なところへ行きたいと考えていました」
筆者「では、家計改善の目標を『旅行』にしましょう! 生活費を月12万円ずつ削減できたら、そのうち年50万円を旅行代金に充ててはいかがでしょうか」
Aさん「それはいいですね。大好きなことのための節約であれば、俄然やる気が出てきました」
A家の「その後」
それから3年後、「ライフプラン点検」をすべくAさんを訪ねたところ、A夫妻は喜んで出迎えてくれました。
「月によって多少ムラはあるものの、妻と『年100万円は絶対に貯蓄しよう、その半分の50万円で旅行を楽しもう』と決め、この3年実行できています。
長男は社会人2年目になり、長女も来年で大学卒業です。長女が大学に入ってから、国内をメインに回ってきましたが、長女の卒業祝いにはハワイに行こうと家族で話し合ったんです。毎年の楽しみも増えて節約もできて、一石二鳥です」
家計改善をはじめる際、ただ生活水準を下げるだけでは辛く感じてしまい、長続きしないケースも少なくありません。A夫妻のように「目標」を決めて、その目標に向かって楽しく節約することが家計改善成功の秘訣といえるでしょう。
髙屋 亮
FP Office株式会社
1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®