
認知症の夫の介護をする妻「低年金で老人ホームの入居費用なんて…」
進さんが認知症を発症して3年。症状は徐々に進行し、現在は要介護3の認定を受けています。食事や排泄、入浴など、基本的な日常生活は自力で行うことは難しく、手を貸す必要があります。物事への理解力や判断力が低下し、一人にさせることはできません。「毎日、近くのスーパーに買い物に行くのが気晴らし」というのは、日常の介護から解放される唯一の時間だから。
――介護に向き合っていると、本当に出かけなくなる。少しでも外に出ないと気が滅入るから、デイサービスを利用している間に買い物に行くのが楽しみなの
――本当、最近は認知症が進んで大変よ。毎日が地獄よ、地獄
――息抜きで買い物にきたらきたで、モノが高くて買えないじゃない。ほんと、何のために生きているのか、わからない
明るく話してくれるものの、介護疲れを隠せない様子の和子さん。最近、進さんの問題行動も多くなり、老人ホームへの入居を勧められることも。しかし、「夫婦で月14万円。実際に受け取れるのは12万円もないのに、どうやって施設に入れろと? 無理に決まっているじゃない」と和子さん。決して多くはない年金、しかも貯金も心許なく、とても施設への入居は考えられないといいます。
実際は、低所得者でも入居可能な老人ホームはあり、認知症に対応した施設も少なくはありません。ただ「お金がないから老人ホームへの入居は無理」と考えている人は少なくないようです。
【低所得者が入居できる老人ホーム】
■養護老人ホーム
現在置かれている環境では生活が難しく、経済的にも問題がる65歳以上の高齢者が市区町村長の措置によって入所できる高齢者向けの福祉施設。月額費用の目安は0~9万円程度
■軽費老人ホーム
社会福祉法人や地方自治体などが運営する福祉施設で、大きくA型、B型、ケアハウスの3種類がある。月額費用の目安はB型で3万円~、A型やケアハウスは6万円~。
低所得者でも入居可能な老人ホーム……ところが、和子さんは知っています。しかし「本当は、お金の問題ではなく、老人ホームに頼るつもりはないの」とポツリ。
――半世紀も一緒にいたから。いまさら、別に住むなんてねぇ
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