人生の転換期と呼べるときは何回かありますが、定年はそのひとつ。サラリーマンに終止符を打ち、「起業」という夢に挑む人も増加傾向だといいます。しかし、現実はそれほど甘くないことは想像に難くありません。
もう限界だ…「退職金2,200万円」60歳定年サラリーマンが一念発起「キッチンカー」開業も、わずか8ヵ月で「赤字500万円」突破の理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

いつか起業を!を実現できなかったサラリーマン。定年を機に挑戦

厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』によると、定年制を定めている企業は94.4%。そのうち一律に定年年齢を定めている会社は96.9%。そのうち定年年齢を60歳とするのが72.3%、61歳が0.3%、62歳が0.7%、63歳が1.5%、64歳が0.1%、65歳が21.1%、66歳以上が3.5%です。単純計算、「60歳で定年」という会社は全体の66%ほどだといえます。

 

昨今は、法改正により、65歳、さらには70歳まで働ける環境が整いつつあります。定年以降の継続雇用は、大きく定年を機に一度退職し、契約社員などで再び契約する「再雇用制度」か、年齢に達した社員を退職させることなく引き続き雇用する「勤務延長制度」の2パターン。どちらにせよ、定年を迎えるサラリーマンの9割近い人が、継続雇用を希望するとされています。

 

そんななか定年を機に会社を去ることにした福田浩さん(仮名・60歳)。同期のほとんどが再雇用を選択しているなか、なぜ、退職を選んだのでしょうか。

 

――定年を機に、心機一転、挑戦してみようと考えました

 

大学卒業後、いつかは起業したいと考えていたという福田さん。しかしサラリーマン人生、年を重ねると役職が付き、責任が生まれ、なかなか会社を辞めるという選択ができませんでした。また35年の住宅ローン返済、2人の子どもの教育費……リスクを冒す行動を取ることはできなかったといいます。

 

しかし定年を迎えるころには、住宅ローンは完済、2人の子どもも社会人となり、あとは自分たち夫婦の老後のことだけを考えたらいい……そこで一念発起したというわけです。

 

定年退職金は2,200万円。そのうち、1,000万円は挑戦資金として使わせてほしいと、妻の了承を得ていました(福田さんの妻いわく、「ごり押しだった」とか)。