
ある冬の夜、長男から父へ電話…しばらく沈黙が続いたが
――結構、勉強が大変らしいですよ。レポートだの、なんだのと。私が大学生だったころは、代返してもらって単位をもらっていましたが、いまどき、違うんですね
そもそも勉強が学生の本分。親としてもアルバイトする時間もないという長男を金銭的なサポートをしてきました。そんな長男も大学4年生となり、希望する会社への就職が決定。親としての役目を終えてホッとしていたときのこと。想定もしていなかった大事件が勃発します。
それはある冬の夜。長男からの電話でした。いつもは家族のグループラインで連絡をすることが多く、電話がかかってくるといえば母親の携帯電話。岡田さんの携帯にかかってくることはなく、「珍しいな」と思い電話を取りました。電話に出たものの、沈黙。「どうした?」と声をかけると、長男が絞り出すように話し出しました。
――お父さん、大事な話があるんだ
――なんだ?
――本当にごめんなさい。単位取れなかった。もう1年、助けてください
――えっ⁉
思いもしなかった告白に、思わず言葉を失ってしまったという岡田さん。
――春から社会人になるものと思っていたので留年するとは……話を聞いたときは「何かの間違いでは?」と信じることはできませんでした
日本の大学生の3割は何らかの形で留年しているといわれています。特に留学する学生の多い外国語大学では、留年率が6割に達しているケースも。また理系学部は専門科目の難易度が高く、授業についていけないことも珍しくありません。授業の内容が複雑で、理解するのに時間がかかるため、結果として単位を取得できず留年するケースが多いのです。
――留年で内定が取り消しになったりと、ショックを受けているのは長男自身ですから。怠けているわけでもないみたいですし、親としてはもう1年、支えるしかないですね
[参考資料]
文部科学省「令和3年度、私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」