老後の生活のベースになる老齢年金。基礎年金に加えて厚生年金も受け取れる会社員や公務員であれば、平均月14万円を手にできるといいます。しかし、それはあくまでも平均。夫婦ともに共働き、しかも大手企業で働いている夫婦の場合は、羨ましい限りの年金額になるようです。
年金だけで暮らせます…退職金夫婦で〈4,800万円〉、貯金は別に〈5,000万円〉定年後は「趣味三昧」の60歳定年夫婦、65歳から受け取れる「羨望の年金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

余裕のある老後に月38万円。20年で貯金・退職金は底をつくが…

公益財団法人生命保険文化センターによる『生活保障に関する調査」(2022年度)』によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は月額で平均23.2万円、ゆとりある老後生活費は平均37.9万円だとしました。

 

仮に長谷川夫婦が余裕のある老後を望み、月38万円を支出したとしたら、1年で456万円、5年で2,280万円、10年で4,560万円、20年で9,120万円となります。どんなに十分な貯金&退職金も、80代突入時には枯渇します。

 

一方、原則、65歳から手にできるのが老齢年金。毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」によると、浩一さんは厚生年金が13.5万円、併給の国民年金も合わせると20.3万円(令和6年度の基準による)。一方、久美子さんは厚生年金が11.0万円、合計17.8万円。夫婦合わせて38.1万円となります。

 

老齢年金は課税対象であり、社会保険料なども天引きされると、手取りは額面の85~90パーセント程度。長谷川夫婦、実際は32万円ほど手にすると考えられます。最低限の生活であれば十分に年金だけで暮らしていける長谷川さん。余裕の老後生活を想定しても、貯金等からの取り崩しは「月6万円」。老後が100年近く続くと、ようやくお金が底をつく……老後不安から会社員の8割強が再雇用を希望する現在。長谷川さん夫婦の場合、老後不安は1ミリもなく、60歳定年で完全引退を決めたのもうなずけます。

 

ともに登山が趣味だという長谷川さん夫婦。「日本はもちろん、海外でもチャレンジしたい山がある」といい、年1回程度は海外に渡航予定だといいます。

 

――結構、お金のかかる趣味なんです、登山は。続けていくためにも、いつもは節約しないといけませんね

 

定年後は趣味三昧だといいますが、油断はせず、きちんと家計管理をしていく堅実さも長谷川さん夫婦にはあるようです。なんとも羨ましい、充実の老後がスタートしています。

 

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年版 厚生労働白書』

公益財団法人生命保険文化センター『生活保障に関する調査」(2022年度)』