
あの父が子どもに頭を下げるなんて…プライドを捨てるしかない「老人ホーム費用の値上げ」
本当に人と生活できるのか……そんな心配があったものの、老人ホームでの暮らしは楽しい様子。そんな父にすっかりと胸をなで下ろしていました。
ところがそんな状況が変わったのが、つい最近のこと。誠さんから珍しく電話。そこで開口一番、「お金が足りない」と悲鳴。そして「すまないがお金を貸してほしい」と頼んできたのです。
まずは「子どもに頭を下げるなんて」と驚いた直樹さん。そのうえで、「なぜお金が足りないのか」と訝しく思ったといいます。理由を聞くと、この物価高のなか、ホームの月額費用も値上げ。このままではお金が足りなくなる。だから援助してほしい……というものでした。
確かに、ホームの月額費用は17万円。金銭的に無理のないホームを選んだ印象がありました。
――で、今は月々いくらなのさ
――月22万5,000円
思わず「えっ⁉」と二度聞きしてしまったという直樹さん。3年前と比べて5万円以上も高くなっています。実は入居後、毎年15%ほど値上げ。光熱費、食費、人件費、あらゆるものの値段が上昇。価格据え置きではとても施設を運営できず、ぜひとも協力を……ホームからの説明です。入居時から月5万円以上も費用が膨らみ、当初のシミュレーションではお金が底をついてしまう。そんな恐れから直樹さんに頭を下げることにしたというのです。
TRデータテクノロジーによると、2023年8月時点で月額費用の値上げを行った法人は全体の26%に達し、管理費の平均値上げ額は7,570円(値上げ率は21.5%)、食費は4,810円(10.1%)となっています。
誠さんは直樹さんに値上げ分の月5.5万円分の面倒をみてくれないかといいます。住宅ローンの返済を抱え、これからは子どもの教育費も増えていくでしょう。そんなタイミングで、思いもしなかった父親からの懇請。断れば、誠さんはホームを退去せざるを得なくなり、別の心配が増えるでしょう。難しい判断のためすぐには回答できず、とりあえず、家族会議を開くことになったといいます。
[参考資料]