
安定して資産形成するために大切なこと
資産形成を考えるうえで、まず理解しておきたいのが「投資」と「投機」の違いです。投資は、将来にわたって価値を生み出すものや成長が見込まれるものに、余剰資金を使って長期的な視点で資金を投じる行為です。一方、投機は短期的な値動きから利益を得ようとする行為であり、リスクが高い分失敗した場合の損失も大きくなります。Fさんがいったように、本来投資は余剰資金でやるものです。そして、仕事の収入以外でお金を増やせたらと考えたお父さんの行動は将来にわたって資産を増やす「投資」ではなく、短期的な値動きを狙った「投機」です。
資産形成で重要なのは、感情や一時的なトレンドに流されず、予測や判断を極力排除した「仕組みづくり」を軸にすることです。そのための方法として、「コア戦略」と「サテライト戦略」の考え方が役立ちます。
コア戦略:仕組みづくりを中心に据える
資産形成の基盤となる安定的な投資を指します。基本的に大きなリスクを取らず、長期的な成長を目指してゴールにあわせて投資商品を選びます。たとえば、
・インデックスファンド活用し、国内・海外の株式や債券などへの分散投資
・積立投資による時間の分散
・長期的に続けていく(長期投資)
これらは、将来の生活資金や老後の備えとして欠かせない部分です。予測を必要としない仕組みを作ることで、投資のストレスを軽減し、冷静に運用を続けることができます。
サテライト戦略:趣味の投資として挑戦することを楽しむ
資産形成の基盤を揺るがさない範囲で、興味や挑戦心を満たすような投資を指します。たとえば、FXや暗号資産のようにリスクの高い投資商品も、この範囲内で行うのが適切です。サテライト戦略の基本は、「この部分で得た損益が全体に大きな影響を与えないようにする」ことです。たとえば、
・資産全体の5~10%以内に限定する(失ってもライフイベントに影響がない範囲で)
・「趣味として楽しむ」「学びの一環にする」と割り切る
・ 損失が出た場合も感情的にならずに切り離す
コア戦略で資産形成の土台を築き、サテライト戦略で挑戦や学びを楽しむ。このバランスを保つことが、安心して続けられるカギです。特に、年齢やライフステージに応じてコアとサテライトの比率を見直すことも重要です。自分に合った戦略をみつけましょう。
伊藤 江里子
FP事務所 夢咲き案内人オカエリ 代表