山田幸太郎さん(仮名、65歳)は定年退職まであと2ヵ月。老後資金の準備はそれなりにできているものの、「このままで足りるだろうか」という不安が頭をよぎる日々。そんな時、15年来の付き合いがある銀行の担当者から投資信託を紹介されました。「長年の信頼関係がある銀行員さんだから、安心だろう」。その思い込みが、山田さんの老後の夢を大きく揺るがすことに。ファイナンシャルプランナーの青山創星氏が、老後の資産運用の留意点について詳しく解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
年金月21万円・退職金3,000万円の元会社員、長年付き合いのある銀行員が笑顔で勧めてきた商品で投資を始めたが…半年後、とんでもない事態に愕然「信じた俺が悪いのか?」【FPの助言】
誰もが陥りやすい"お金の落とし穴"から身を守るために
私たちは誰しも、長年付き合いのある金融機関や担当者を信頼したいと考えます。しかし、その信頼関係と金融商品の選択は、別物として考える必要があります。特に老後の大切な資産を運用する際は、感情的な判断ではなく、客観的な視点で決定を下すことが重要です。
まずは「銀行の窓口で勧められる商品だから安全」という思い込みから解放されることから始めましょう。どんな商品でも、必ず複数の金融機関で比較検討することをお勧めします。また、投資を始める前には、銀行員ではなく、独立した立場の投資の専門家に相談することで、より中立的なアドバイスを得ることができます。
特に老後資金の運用では、収益性よりも安全性を最優先に考えることが大切です。目先の高利回りに目を奪われず、長期的な視点で資産を守り育てていく姿勢が、結果として良い投資につながるのです。
山田さんのアクティブ型投資信託は、幸い1,800万円まで回復しました。運用の中身を理解しないまま投資したことを反省し、半分はリスクを抑えたバランス型ファンドと変動金利型の国債に、残りの半分は預金に戻すことにしました。損失のすべてを取り戻すことはできませんでしたが、この経験から得た教訓は今後の資産運用に活かされています。
大切なのは、誰かを信じることではなく、自分自身で学び、判断する力を持つこと。それこそが、本当の意味での「安全な投資」への第一歩なのかもしれません。
青山創星
ファイナンシャルプランナー