投資専門サイト『テクニカルブック』(https://ad-van.co.jp/technical/)は、2024年8月上旬の日本株暴落時における新NISA利用者の投資行動を調査する目的で、新NISAを利用したことがある20~69歳の男女446名を対象にアンケートを行いました。本調査からは、投資経験によって暴落時の判断・行動に違いが見られることがわかりました。
日本株暴落で初心者の30%が大幅売却!2024年8月上旬の株価急落局面における投資家行動を分析 (※写真はイメージです/PIXTA)

6. <つみたて投資枠>投資経験が1年未満の人は市場分析をせず、感覚的判断が多い傾向

以下のグラフは、つみたて投資枠での投資行動の判断理由を、投資経験年数別に示したものです。

 

[図表8]今月8月上旬の歴史的日本株暴落時、あなたがつみたて投資枠において取った投資行動の、主な理由は何ですか?

 

つみたて投資枠では、投資経験にかかわらずほぼ半数前後が「あらかじめ決めていた投資ルールに従って行動した」と回答しており、成長投資枠と比較して投資ルールに則った行動をしている人がやや多い傾向にありました。

 

投資経験別の特徴を見ると、投資経験が「新NISAが初めての投資/1年未満」の層では、市場分析による判断が極めて少なく(4.3%/2.2%)、感覚的判断の割合が高い(17.0%/22.2%)のが特徴です。

 

投資経験が「1年~3年未満」になると、市場分析による判断が23.2%と大きく増加すると同時に、感覚的判断は15.9%に減少します。このように、投資経験を重ねることで、感覚的な判断に頼る割合が減少し、投資ルールや市場分析に基づいた判断ができるようになっていく傾向が確認できました。

 

7.46.0%が「30年後の株価は上昇」と予想、長期ほど上昇期待が高い傾向

以下のグラフは、新NISA利用者に、1年後/10年後/30年後の日本株の株価水準に対する見通しを質問した結果です。

 

[図表9]1年後・10年後・30年後の日本株のおおよその株価水準について、あなたのイメージに最も近いものを選択してください。

 

1年後の株価については「現在と同じような水準」が41.7%と最も多く、上昇予想(「大幅に上昇している/やや上昇している」の合計)は35.2%、下落予想(「大幅に下落している/やや下落している」の合計)は15.7%となりました。

 

一方、時間軸が長くなるにつれて上昇予想は増加傾向を示し、10年後では45.7%、30年後では46.0%が株価の上昇を予想しています。特に「大幅に上昇している」との回答は、1年後の4.3%から10年後には8.5%、30年後には12.6%まで上昇しました。

 

また、現在と同じ水準との予想は、時間軸が長くなるにつれて減少し、1年後の41.7%から30年後には19.3%まで低下しています。このように、基本的には多くの投資家が、長期的な日本株市場の成長に期待をしているといえそうです。

 

【参考情報】両投資枠とも7割以上が今後の利用に前向き

このような長期的な市場への期待は、今後のNISA利用意向にも表れているようです。次のグラフは、新NISA利用者の、今後のNISA利用に対する意向を示したものです。

 

[図表10]今後のNISA利用について、あなたの考えに最も近いものを選んでください。

 

今後の利用についてポジティブな回答(「積極的に利用したい/それなりに利用したい」の合計)をした人の割合は、成長投資枠が73.1%、つみたて投資枠が72.2%となりました。大半の人が、今後も引き続きNISAを活用していこうと考えているようです。

 

一方、ネガティブな回答(「利用するつもりはない/あまり利用したくない」の合計)をした人は成長投資枠が6.9%、つみたて投資枠が4.3%でした。歴史的な日本株暴落を経験した新NISA利用者ですが、それによって投資をやめようと考える人はほとんどいないことが分かりました。

まとめ

今回の調査結果をまとめると以下の通りです。

 

  • 新NISA利用者の約6割が、投資経験3年未満の比較的新しい投資家層
  • 特に成長投資枠において、暴落時の判断の投資経験による違いが見られる
  • 新NISA利用者の半数近くが30年後の株価上昇を予想するなど、長期的な期待感がある

 

この結果からは、投資経験の蓄積が投資判断の質を高めることが示唆されます。特に暴落局面における投資行動には経験による差が判断や行動に表れやすく、投資経験を着実に積み重ねていくことの重要性が確認できました。