
退職後のプランにまつわる夫婦間の溝
退職後の生活設計は、夫婦にとって新たなステージの始まりです。しかし、計画の立て方や資金の使い道について意見の相違があると、夫婦間に溝が生じることがあります。自身の退職金とはいえ、自分の趣味や希望だけを優先し、パートナーの意見や希望を軽視することは避けるべきでしょう。
ポイント1:定期的に老後のビジョンを共有する
退職後の生活スタイルや趣味、資金の使い方について夫婦間で話し合いを行うことが必要です。お互いの希望を尊重するための話し合いの場を作ることで、すれ違いや誤解を防ぐことができます。
ポイント2:老後資金の計画を共同で立てる
退職金の使い道を夫婦で一緒に計画することを心がけましょう。家計管理や将来の年金額を専門家に相談することで、正しいプランニングをすることができます。
ポイント3:感謝を共有する
定年退職まで無事に勤め上げることができたのは、家族や身の回りの方全員の努力や支えがあってこその成果です。お互いに感謝の気持ちを持つことで、前向きな計画作りが可能になります。
退職金の管理方法
また、退職金というまとまったお金を受け取ったとき、なにをしたらよいかわからないという方も多いと思います。以下は退職金の管理方法をポイントにまとめます。
老後資金を分散管理する重要性
退職金を一括で使うのではなく、目的別に分散して管理することが大切です。たとえば以下のような項目を考慮するとよいでしょう。
・生活費:日々の生活を維持するための費用。老後の生活費は月25万円が目安(生命保険文化センター)とされますが、個別の状況に応じた予算を立てることが重要です。
・医療/介護費:予測不能な支出に備えるため、ある程度の資金を確保しておきます。緊急予備資金として生活費の6ヵ月分を目安に準備するとよいでしょう。
・趣味/旅行費:夫婦で楽しむための資金。これをあらかじめ話し合って決めておくとトラブルを防げます。
・子供や孫への援助費:教育費や結婚資金の援助が必要かどうかを話し合い、必要であれば余裕資金を充てます。
妻Bさんからのメッセージにショックを受けたAさん。同時に、自分が長年見落としていた「妻の本音」に気づくきっかけでもありました。子供たちもまた、「父の頑張りを支えた母の存在」を改めて考えるように。Aさんの退職祝いは、家族にとって老後の生活を見直し、結果として互いに向き合うための転機となったのでした。
退職金や老後資金は夫婦にとっての「第二の人生」の土台です。これをどう管理し、活用するかは夫婦の将来を大きく左右します。夫婦間のコミュニケーションを大切にし、互いに感謝と尊重を忘れず、専門家のアドバイスを活用しながら計画を立てることをお勧めします。
老後のお金の問題を、家族全員で幸せな未来を築くための機会に変えていきましょう。
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス
代表