(※写真はイメージです/PIXTA)
40代で脳卒中を発症した妻
現在、60歳のAさんは年収1,200万円超の大企業の元営業部長でしたが、52歳のときに4歳年下の妻が若くして脳卒中で寝たきりとなってしまいました。高収入とはいえ、当時、2人の息子はどちらも私立大学に通い、住宅ローンを抱えていた状況。そのため、決して余裕があるものではありませんでした。
妻は退院後に介護認定を受けましたが、若いために介護保険サービス内で入居できる施設が周辺になく、自宅で介護をすることになりました。息子たちとは別居しているため、Aさんが介護サービスを利用しながら面倒をみることに。
日中は訪問介護の人が来てくれる日もありますが、妻の飲み薬の管理やオムツの付け外しなど、食事や洗濯、早朝や夜の介護のほとんどはAさんが行うことになります。「息子たちは心配してときどき様子を見に来てくれましたが、面倒をかけたくありませんし、まだ若いですから介護をさせたくありませんでした」と当時を振り返ります。
当然、それまでのようにバリバリと仕事はできなくなり、しばらくは休職して介護に専念してみましたが、1年後には結局、退職することに。
その後は週に数日、妻がデイサービスを利用しているあいだなどに高校時代の友人が経営している飲食店の手伝いなどをさせてもらっています。ですが、年収は1,000万円以上もダウンしてしまい、それまでの預貯金を取り崩しながら生活をすることになりました。
介護にかかるお金
生命保険文化センターによる令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」では、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、
・住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計は平均74万円
・月々の費用が平均8万3,000円
となっています。なお、介護を行った場所別での介護費用(月額)は、
・在宅:平均4万8,000円
・施設:平均12万2,000円
です。また、介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)は平均61.1ヵ月(5年1ヵ月)となっており、4年を超えて介護した人も約5割を占めています。
以上の平均値を使って介護にかかる総費用を計算してみると、
となります。介護費用として約600万円かかる、ということになりますが、日本人の平均寿命が今後も延びることや人件費や食費が上がっていることを考えると、介護費用はさらに膨らむことが予想されます。