(※写真はイメージです/PIXTA)

市街化調整区域は、比較的低コストで不動産を購入できるという点から不動産投資でも注目されることがあります。しかし、実際には「市街化調整区域は買わないほうがいい」と評価されることが多いです。本コラムでは、市街化調整区域の意義や、不動産投資における考え方、メリット・デメリットを紹介し、本当に「買わない方がいい」のかどうか検証します。また、市街化調整区域の調べ方も解説します。

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市街化調整区域のデメリット

市街化調整区域には特定のメリットがある一方で、利用目的によっては多くのデメリットが発生します。特に投資目的での不動産購入や活用を考える場合、以下に紹介する制限や課題を十分に理解しておくことが重要です。

 

  • 資産価値が上がる可能性が低い
  • 不動産投資用ローンが通りにくい
  • 売却や賃貸経営が難しい
  • 新築や建替えが制限される
  • 補助金や優遇措置の対象になりにくい
  • インフラが整っていないことがある

 

資産価値が上がる可能性が低い

市街化調整区域の物件は、将来的な資産価値の上昇を期待することが難しいという特徴があります。

 

そもそも市街化調整区域は、法律により市街化を抑制すべき区域として指定されているため、開発の対象となることはほとんど想定されていません。そのため、周辺地域で新たな商業施設やオフィスビルが建設されたり、都市基盤が整備されたりする可能性は非常に低くなります。

 

また、人口減少が進む地域では、需要の低下に伴って資産価値が徐々に下がっていく場合も少なくありません。

 

このように、不動産投資の観点からみると、市街化調整区域内の物件について将来的な値上がり益を期待することは難しく、購入を検討する際は慎重な判断が必要となります。

 

不動産投資用ローンが通りにくい

市街化調整区域の物件において融資を利用して購入する場合は、融資可能な物件であるかも重要になります。金融機関では市街化調整区域にある物件に対して慎重な姿勢を示すことが多く、不動産投資用ローンの融資を受けられない可能性があります。

 

これは、賃貸経営などの投資目的での収益性が見込みにくく、将来的な資産価値の低下リスクが高いことに加え、不動産に抵当権を設定しても十分な担保とならない可能性があるからです。

 

一般的な住宅ローンと比べても、審査基準が厳しく設定されることが多く、資金調達の面で大きな障壁となることがあります。

 

売却や賃貸経営が難しい

市街化調整区域の物件は、売却や賃貸経営が難しい傾向にあります。

 

まず、この区域では建築制限があるため、購入希望者や賃借人となる対象者が限定されてしまいます。また、一般的に市街化調整区域は都市部から離れていることが多く、交通の利便性も低かったり生活に必要なインフラが不足していたりと、需要自体が市街化区域と比べて著しく少なくなります。そのため、物件を売却しようとしても買い手が見つかりにくく、売却までに期間を要することも珍しくありません。

 

賃貸経営においても、同様に入居者を見つけることが困難で、仮に入居者が見つかったとしても、市街化区域と比べて家賃相場が低くなるので賃貸収入が思ったように得られないこともあります。

 

このような状況により、将来的な資産活用の選択肢が限られてしまうことは、市街化調整区域の物件を所有する上で考慮すべき重要なデメリットとなっています。

 

新築や建替えが制限される

市街化調整区域における大きなデメリットのひとつとして、建築に関する厳しい制限が挙げられます。この区域では新築や建替えを行う際、一般の市街化区域とは異なり、自治体への開発許可申請が必要となります。

 

この申請では、建築計画が法律で定められた基準に適合しているかどうかが厳密に審査されます。例えば、農家の分家住宅や既存集落の維持のための住宅など、限られた用途でしか建築が認められないケースが一般的です。また、申請から許可が下りるまでに時間がかかることも想定しておく必要があります。

 

ただし、地域や自治体によって許可基準は異なっており、一定の条件を満たせば建築が可能となることもあります。そのため、建築を検討する際は、事前に該当地域の自治体に相談し、具体的に建築可能な範囲を確認することが重要です。

 

補助金や優遇措置の対象になりづらい

市街化調整区域は、国や自治体が発展を推進するエリアではないため、補助金や税制上の優遇措置の対象外となる可能性があります。

 

市街化区域では、住宅建築やリフォームに対して補助金が出る場合がありますが、調整区域ではこれらの制度を利用できないことがあります。その結果、土地自体は安く購入できたとしても、建築費用やライフライン整備のための追加コストが発生し、トータルコストが高くなる場合もあります。

 

このように、初期費用や維持費用の面でも、市街化区域と比べて不利な状況に置かれやすい点に注意が必要です。

 

インフラが整っていないことがある

市街化調整区域では、生活に必要なインフラが十分に整備されていない場合が多くみられます。上下水道や道路などの基本的なライフラインが未整備であったり、整備されていても老朽化が進んでいたりすることがあります。

 

また、日常生活に欠かせない駅やバス停、スーパーマーケット、医療機関などの生活インフラまでの距離が遠く、車がなければ生活が困難な地域も少なくありません。特に高齢者や子育て世帯にとっては、この点が大きな生活上の課題となることがあります。

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