専属専任媒介契約のデメリット・注意点
専属専任媒介契約には、売り手にとって気をつけるべきデメリットや注意点があります。売却活動を効率的に進めるために、こうした点もしっかりと理解しなければなりません。
ここからは、専属専任媒介契約の主なデメリットと、契約時の注意点について詳しく解説していきます。
複数の不動産会社による競争が生まれない
専属専任媒介契約では、1社のみと契約を結ぶため、複数の不動産会社が競争して売却活動を行う状況とはなりません。
一般媒介契約であれば、複数の不動産会社が互いに競い合って物件の売却に取り組むため、より早期の売却が期待できる場合があります。しかし、専属専任媒介契約の場合、不動産会社の独占状態が生まれることで、必ずしも迅速な売却活動が行われない可能性があります。
また、1社に任せきりになることで、その不動産会社の営業手法や販売戦略に物件の売却が大きく左右される点にも注意が必要です。さらに、その不動産会社の得意とする顧客層や販売エリアと、物件の特性が合致しない場合、効果的な売却活動が行われにくくなるというリスクもあります。
囲い込みをされるリスクがある
専属専任媒介契約では、不動産会社が両手仲介(売り手と買い手の両方から仲介手数料を得ること)を目的とし、物件の囲い込みが発生するリスクがあります。囲い込みとは、不動産会社が独占的な取引権利を利用して、自社の買主のみを優先する行為を意味します。
具体的には、他社からの問い合わせに消極的な対応をしたり、悪質な場合にはレインズに登録せず、売却の機会が制限されたりする可能性があります。このような状況では、不動産会社が自社の利益を優先するあまり、より良い条件の買い手が現れる機会を逃してしまうかもしれません。
不動産会社の都合による売却活動の制限は、結果として売主の不利益につながります。
信頼できる不動産会社を探すのが難しい
専属専任媒介契約におけるさまざまなデメリットやリスクを回避するためには、誠実で積極的な売却活動を行ってくれる不動産会社と契約することが不可欠です。
しかし、これまでに不動産会社との取引経験がない場合、信頼できる業者を探すことは容易ではありません。特に、不動産取引の知識や経験が乏しい場合、各社の実績や評判を適切に判断すること自体が難しく、適切な不動産会社の選定に時間と労力がかかってしまいます。
また、不動産会社の担当者の説明を正しく理解し、その会社の売却に対する姿勢や能力を見極めることも重要ですが、これも経験のない人にとっては大きな障壁となります。このため、専属専任媒介契約を結ぶ前に、複数の不動産会社に相談し、丁寧に比較検討する時間を確保するようにしましょう。
