夫の介護をする妻。正月も休めない
9連休の中日である、2025年1月1日。夜更かしをしてまだ夢のなかの人もいれば、初日の出を拝もうと早起きした人まで、お正月の過ごし方はさまざま。日本を脱出して、まだ12月31日、という人も今年は多いかもしれません。
そんななか、「お正月なんてない。きっと休まずに働いている¥」といっていたのは、佐藤和子さん(仮名・78歳)。当の昔に仕事は辞めているので、元日から仕事というわけではありません。ただお正月だからといって休めるわけではない、という事情があります。「夫の介護」です。
和子さんの夫、勝利さん(仮名・81歳)が脳梗塞で倒れたのは2年ほど前のこと。一命は取り留めたものの、左半身に麻痺が残りました。要介護4。家族の介護が必要不可欠となりました。
夫の介護をきっかけに穏やかな老後は一変しました。朝は、和子さんが勝利さんを起こすことから始まります。快適に一日を始められるよう、毎朝決まった時間に起床し、勝利さんの顔を優しく拭き、必要な薬を飲ませます。左半身の麻痺により、勝利さんは自分で身支度をすることができず、和子さんの手助けが欠かせません。
食事の準備も一苦労です。和子さんは勝利さんが食べやすいように、柔らかくて栄養価の高い食事を心がけています。しかし、勝利さんは時折、食欲を失うことがあり、「食事がおいしくない」と訴えることもあります。これは、口腔内のケアが不十分であることが原因と考えられ、訪問看護師からの指導を受けながら、口腔ケアを行っています。
入浴など、体力勝負のことに関しては介護サービスを利用していますが、贅沢はできません。
――年金は2人で月22万円ほどだけど、できるだけ貯金には手を付けたくないのよ。何があるかわからないからさ
外に頼むのは必要最低限の介護だけだという和子さん。「もっとまわりの人に頼ったほうがいい」とアドバイスされることもありますが、頑として受け入れることはありません。「あまり他人に家に入ってほしくなくて……」、そんな潔癖な性格が、和子さんを苦しめている一面も。
勝利さんは左半身麻痺の影響で言葉をうまく発することができないので、目や表情で気持ちを伝えようとします。しかし、和子さんはそれをうまく読み取ることができず、夫婦の間に衝突が生じることもあります。自分の想いもしっかりと伝えることができず、時には気持ちが折れそうになることもしばしば。勝利さんが以前のように元気だったころの思い出が、和子さんの心を締め付けます。体力的な疲労よりも精神的な疲労のほうがひどく、「いっそのこと、最悪の選択をしたほうが楽かもしれない……」と覚悟したことも何度もあるといいます。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」来場登録受付中>>