(※写真はイメージです/PIXTA)
印象は毎日の積み重ねで決まる
初対面でお会いした人で、その後再びお会いすることなく関係が途切れてしまう人には、第一印象がそのままあなたの印象として相手に残ります。割り切って考えると、二度とお会いすることがないような場合は、多少第一印象が悪かったとしても、ご縁がなかったとしてあきらめもつくのですが、今後関係性を続けなければいけないような場合は、相手にどう思われるかでビジネスの展開も変わってくるものです。
しかし、最初に持った印象は、時間と共に変わっていくことがあります。ここまで、初対面で信頼されるには、第一印象とその後の印象が大きく変わらないことが一番だとお伝えしてきましたが、そうではない場合も実は多くあるのです。
第一印象が多少悪くても、共にする時間が長くなることによって印象が好転していく場合、それを「第二印象」と呼びます。第一印象が、会話をする前のパッと見た印象だとするならば、第二印象は言葉を交わした後の印象です。「実際話をしてみると、見た目と違って誠実だった」というようなケースです。
さらに、人間関係が続いていくと、第三者の評価が加わってきます。ビジネスシーンでよく見られる、「第三印象」と呼ばれるものです。これは、初対面の印象はあまりよくなくて、話をしてみてもやっぱりどこか合わないんだけど、部長が「あいつは感じはよくないんだけど、仕事ができるから困ったことがあったらあいつに相談すればいいよ」と言っているようなケースです。第三者の評価が高い場合、それに影響されてよい印象に変わるのです。
私が客室乗務員として乗務を始めた頃のことです。まだ新人で仕事の要領もつかめず、毎回緊張してあたふたとフライトしていたのですが、今でも強烈に印象に残っている上司に、ある男性チーフパーサーがいます。客室乗務員は、基本的に1年間は同じメンバーでフライトをするというグループ制なのですが、配属されたグループでそのチーフパーサーに初めてご挨拶をしたとき、その方はニコリともせず、交わす言葉も少なく、初対面の印象は最悪なものでした。
このチーフと1年間一緒にフライトしなければいけないのかと思うだけで憂鬱な気持ちになったものです。数か月経っても、仕事上の最低限の会話は交わしますが、それ以外はあまり話しかけることができないほど、悪い第一印象は変わらないまま。
第一印象は最悪、話す機会が増えた状況での第二印象も悪いままでしたが、そのチーフパーサーはお客様の評判がとてもよいのです。そして客室業務に必要な知識が豊富で、業務以外のさまざまな情報や知識にも精通している博学なチーフでした。同じグループの先輩たちの評判も決して悪いものではありませんでした。
「チーフは自分からはあまり話しかけたりしないからとっつきにくいところがあるけど、なんでもよくご存じで、学ぶところが多いのよ」と口をそろえて言うのです。これが、第三印象です。第一印象、第二印象と印象が積み重なり、そこに周囲の評価が加わって第三印象になることで、親近効果と言われる最後の印象になっていきます。
あなたの印象は、あくまでも相手が判断することです。常に誠実に、真摯に相手と向き合っていると、相手のあなたに対する印象も変わってきます。あなたの印象は日々の振る舞いの積み重ねで成り立っているのです。
山本 洋子
株式会社CCI 代表取締役
人財育成コンサルタント・キャリアコンサルタント・元JAL国際線チーフパーサー・客室マネージャー